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[特集]さまざまな分野での
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ネイチャーゲームの故郷

自然と調和する暮らしを実践するアナンダ村


ネイチャーゲームを通して真に伝えたいもの。
その姿を求めて・・・
 カリフォルニア州、シェラネバダ山脈の麓に位置するアナンダ村。そこはネイチャーゲ―ムを考案した米国のナチュラリスト、ジョセフ・コーネル氏が暮らし『Sharing Nature with Children(邦題:ネイチャーゲーム1)』を執筆したところです。
 この夏、日本協会では7年ぶりにこのアナンダ村を訪ねる研修ツアーを行いました。コーネル氏のネイチャーゲーム考案のバックボーンともなった地とはどんなところなのか。訪れた人びとが口々に「真に自然と調和した暮らしがある」という、村と人びとの暮らしの一端を、ツアーに参加された方々の感想を交えながら紹介します。

アナンダ村

カリフォルニア州ネバタ市郊外につくられた「共同体」。
360ヘクタールの敷地に、さまざまな国から集まった70家族約250人が自然と共生した暮らしを送る。村内には学校やマーケットの他、電力会社、建築会社、自動車修理工場などもある。年間を通してさまざまなセミナーが開かれ、世界各地から多くの人が訪れる。
ヨガナンダの思想が生きるコミュニティ
 アナンダ村はアメリカにヨガを伝えたインドの指導者、パラマハンサ・ヨガナンダに学んだクリアナンダ氏(本名:ドナルド・ウォルターズ)によって、1967年に設立されたコミュニティです。東洋思想とキリスト教を融合させた考えのもと、現在世界各地から集まった70家族約250人が自然と調和した暮らしを送っています。村民のほとんどはベジタリアン。ヨガや瞑想を生活の一部に取り入れ、シンプルな住居で精神性を大切にした暮らしを営み、村はいつも静かで穏やかな空気に満ちています。
 アナンダ村には独自の自治組織があり、学校や信用組合など、共同体として共有する多くのものを村民が力を合わせて維持・管理しています。さらに村内では農場や自然エネルギーの電力会社、マーケット、レストラン、自動車修理工場など、生活に必要な多くの事業が展開され、村民によって運営されています。もちろん村民のなかには、近くの町に働きに出ている人も多くいます。
 ここにネイチャーゲームの考案者ジョセフ・コーネル氏が居を移したのは1976年。ヨガナンダの思想を具現化するコミュニティのあり方に惹かれ、以後30年以上この地を拠点に、世界各地で「シェアリングネイチャー」の講演や野外活動の指導を行っています。
アナンダ村の空気をつくるセルフ・オファーリング
 アナンダ村を訪れた人が口をそろえて話すのが、村人のやさしさ、隣人や訪問者に対し「気持ちのいい時間」を提供しようとしているその態度の心地よさ。それは村に棲む生きものにも伝わり、村全体を静かに包んでいるようです。  「目を覚ますと、窓の外は自然そのもので、外を歩けば野生のシカや七面鳥が当たり前にいる。そしてそれらが人を恐れず、湖の魚も逃げずによってくる。人間と生きものの関係も調和している。シェアリングネイチャーの真の意味が感じられる場所でした」と話すのは、山口県から参加したネイチャーゲームリーダー暦20年の村田徳子さん。
 「ネイチャーゲームで伝えようとしていること.ものの見方、価値観は、以前から生活に近いものだと思っていました。それをアナンダ村で確信したように思います。とても明解になりました」といいます。
 コーネル氏は、シェアリングネイチャーの目標を、「楽しい自然体験活動をして、人びとが生命あるすべてのものと一体感や調和を感じる経験を手伝うこと」といいます。その体験により人の意識が向上すると、物事の認識が変わり、認識が変わると行動が変わり、社会全体を変えることができるのだと。
 アナンダ村の人が大切にしていることのひとつに「セルフ・オファーリング=人のためになることを自ら提供する」ということがあります。その姿勢は、"自己"という認識が身体を超え、周囲の生命あるすべてのものに広がることにより、周りのものに対し無償の愛を提供できるようになる、その現れと考えられています。そして、この"自己という認識が身体を超え、周囲の生命あるすべてのものに広がる経験"こそが、コーネル氏がシェアリングネイチャーを通して多くの人に提供したいと考えていることなのです。
村の中には外灯はほとんどなく、自然の明るさや暗闇をそのまま楽しむことができます。
敷地内には鳥やリス、キツネ、そしてクマやマウンテンライオンが生息。彼らの生活を脅かさないように一定の距離を保ち、同じ場所を共有しています。
"思考"と"情報"を大切にする小学校教育
 今回のツアーでは、コーネル氏のレクチャーやワークショップ体験の他、アナンダ村の自然を楽しむ時間や村内の施設訪問なども行いました。そのなかでも参加者の人たちに印象深く映ったのが小学校。「小学校を訪ねて話を聞いたことで、アナンダ村を理解できた気がする」という声も聞かれたほど。そこにはネイチャーゲーム指導者の姿勢と共通するものも多く感じられます。
 アナンダ村の小学校では「身体・感情・意思・知性」のバランスのとれた人を育てることを目標に、"思考"と"情報"両面を重視した教育が行われています。
 「歴史を教えても、『誰がいつ何をした』だけでなく、その人はなぜそれをしようとしたのかを伝え、考えさせることにより、子どもたち自身が、『何ができるのか、何をしたいのか』を導きだす教育。本来やりたいことをやれるようにする、その子にしかできないことを引っ張りだす。まさに〝教える.教育ではなく"導きだす"教育だと思いました」(村田氏)
 子どもの人間性に合わせた授業、人生そのものを考えさせる授業を目指し、一人ひとりの子どもが持っている特徴を大切に扱う教育を行っています。
「ネイチャーゲームも同じ考えのもとにつくられたのだと思った」というのは、ツアーに同行した日本協会スタッフの藤田航平さん。前出の村田さんも「ネイチャーゲームの指導も、その子にしかない気づきや考えを導きだし、受け止めることを大切にしますが、とても近いものを感じました」といいます。
研修ツアーでは、コーネル氏の話を聞いたりワークショップを受けたりする時間も設け、コーネル氏の思いを参加者とともにシェアしました。
瞑想(メディテーション)で育まれる心が
プログラムを変える?!
 アナンダ村の人たちの生活で大きな位置を占めているのが、ヨガや瞑想の時間です。今回のツアーでもフリータイムに参加者が毎朝ヨガや瞑想を体験できる時間がありました。
 そして、この一見シェアリングネイチャーとはかけ離れているように思うヨガや瞑想が、「指導においてとても重要だと気がついた」という参加者が多くいます。
 なかでも、東京で幼稚園の事務局長を務めネイチャーゲームの指導や指導者育成を行っている園田恵一さんは、帰国後も毎日瞑想の時間を設けているといいます。
 「自然案内人は自然に対しても、相手(参加者)に対しても、謙虚であり、すべてを受容できる懐の深さをもっていなければなりません。元気のいい.カワウソ.のアクティビティを行うときでも、平穏さを持っていたい。心の器が大きくないと、予期せぬことが起きたときに、すぐにあふれます。この〝心の器を広く深く持つ.ために、メディテーションが大切だと改めて思いました。周りにどれほど素晴らしい自然があっても自分の気持ちがそこにいっていないと、聞こえていても聞こえない、見えていても見えないことがありますから」
 今回はコーネル氏のワークショップも自然を直接体験する.クマ.のアクティビティや、感動をわかちあう.イルカ.のアクティビティが多く、「ゲーム的なおもしろさではなく、裏にある深いもの、精神性のある深いものがストンと心に落ちた」という園田さん。
 今回アナンダで感じたさまざまなことが、今後プログラムに対する気持ちの置き方、フィールドへの目の向け方など、要所要所に現れ、指導が変わってくるだろうと話します。
 アナンダ村での研修はわずか5日間。けれどそのなかで参加者それぞれの心に落ちた種は、今後さまざまな芽を出し花を咲かせていくことと思います。今回のアナンダ村での体験が、参加者それぞれの指導にどう生かされていくのか、とても楽しみです。
2012年アナンダ研修ツアー参加者。北は北海道から南は徳島まで、全国各地から28名が参加しました。
取材・文/伊東久枝
取材協力/園田恵一/村田徳子/藤田航平/佐藤久美子
写  真/浜 富雄/藤田航平
構  成/編集部

※本記事は情報誌「ネイチャーゲームの森 vol.80」(2012年12月15日発行)特集より転載しています。
 団体名称、役職者名等について発行時の表記となっている場合があります。

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