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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.115〈にらみ合い〉(2020.09.19)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO115
〈にらみ合い〉
耕運機にかぶせてあるシートにカナヘビがいた。
畑でよく見る常連さんだ。ひなたぼっこでもしているのかなと、離れた場所からそーっとカメラを向けた。
いつも動きが素早いから写真に収めるのはなかなか難しい。が、どういう風の吹き回しか今回はおとなしく撮られている。
何枚か撮っているうちにすぐ近くにバッタがいるのに気づいた。そうか、動かなかったのはこのせい
かと納得。わずか10cmほど先にバッタがいたのだ。両者ともピクリとも動かない、カメラも動かせない。
驚かさないように両者のにらみ合いを見守る。自然と呼吸が浅くなり、"無"を装う。
1分経過、2分経過、3分経過・・・・。
にらみ合いは続く。
5分後、風にあおられ、シートが少し揺れた。その瞬間、横を向いてたカナヘビの顔がバッタを正面に見る。
でもそれ以上は動かない。この距離ではまだ無理と思っているのかカナヘビ、この距離ならまだ大丈夫と思っているのかバッタ、息が詰まる
ような緊迫した時間が過ぎていく。10分が経つ。
それでも場面は変化なし、この後の顛末をしかと見届けようと息を殺したまま両者を見つめる。
とそこへ、「こんにちは~」と人の声が聞こえた。
まさにクライマックスを迎えようとしている最高のシーンに水を差され、現実に戻される。
ドラマはリアルタイムで起こっているので、一時停止にすることはできない。
後ろ髪引かれる思いで現場を離れ客人の対応をする。その間約15分ほど。急いで現場に戻ってみると・・・・。
既にそこには何もいないし、何か事件が起きた物的証拠も残っていない。
朝ドラなら翌日続きが見られ、どういう結末であれスッキリするのだが・・・。
1 度きりのチャン スを逃したことが悔やまれる。
▶PDF版をダウンロードする イノッチファームでシェアリングネイチャー115.pdf
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