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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.123〈十五夜お月さん〉(2020.10.1)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO123
〈十五夜お月さん〉
「おつきみちょうだーい」
子どもの頃、十五夜には近所の友達数人と連れ立って、十五夜さんにお供えしてあるお団子やお芋、栗などをあちこちの家にもらいに行った。
農家でない家ではお菓子がお供えしてあり、当時の子どもにとっては何よりうれしい貰い物だった。
"どこどこの家ではお菓子をたくさんもらった"とか、"あそこの家はお供え物があってもガラス戸が閉まっていていつもくれない"とか、子ども同士の情報交換があってそれを頼りに家々を回った。
団子やお菓子をもらえる楽しみもあったが、夜子ども同士で暗闇の中を歩くのはチョット怖くてでもワクワクする時間だった。
今、十五夜のお供えをしても供え物をもらいに来る子どもはいない。
地域の繋がりが希薄になり地域で子どもを育てるという風潮は過去のものとなってしまった。
十五夜お月さんもさぞや寂しがっていることだろう。
旧暦8月15日、今夜は中秋の名月。ススキの他に庭に咲いてたシュウメイギクとホトトギス、ウメモドキの実を挿す。
畑で採れたサツマイモとサトイモ、それに団子を一緒に供えた。
7月の長雨と8月の日照り、そして9月はまた長雨と野菜にとっては過酷な環境ではあったが、なんとかお供えできる程度には育ってくれた。
人間だったらとっくにひっくり返っていただろうに、何とか持ちこたえてここまで育った野菜の生命力にただただ感服せずにはいられない。
畑に行って月が出てくるのを写真に撮ろうとしたら、丁度上り始めたところだった。
暗くて良く見えなかった足元が月明かりで少しずつぼんやりしてくる。
虫たちのざわめき、頬をやさしく撫でる風、そして夜の暗闇。
今、こんなひと時を過ごせる幸せをしみじみと感じている。
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