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イノッチのシェアリングネイチャー No.152-61〈富士山という山〉(2021.2.21)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-61

〈富士山という山

富士山が見える山に登った。愛鷹山系の、蓬莱山、呼子岳、越前岳の週回コースだ。

コースタイムは5 時間半。途中、"大杉"があり、挨拶した。幹回りは優に3メートルは超える巨木だ。幹に耳を当て静かに木の鼓動を聞いてみる。耳の奥の奥の方で何かささやく ような音が聞こえる。葉擦れかもしれないし小鳥が枝をつついている音かもしれない。優 しい音で、しばし聞き入ってしまう。恐らく100 年単位で生きてきた大杉、ハグしてパワ ーをもらった。

若い頃、富士山という山は好きになれなかった。あまりにも整いすぎて非の打ち所がなく、美の象徴のような存在。花にも海にも湖沼にも、田んぼや畑や遊園地、電車や高速道路、学校。どの風景の中にあっても似合ってしまう富士山。切手にもお札にも記念硬貨にもなり、みんなから、"富士山、富士山"と愛されている山。へそ曲がりなのか、単なる美しいものに対する嫉妬心からなのか、はたまた、美に照射される自分自身に耐えられなかったのか、とにかく富士山という山は好きにはなれなかった。若い頃は。

でも、いつの頃からか、あの裾野を広げ雄大にデンと構える整った富士山の美しさを、そのまま"ああ、きれいだな~"と素直に受け入れられるようになった。長生きはしてみるもんだ。

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.21 NO152-61 富士山という山.pdf


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