スタッフブログ
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-83〈飛べないチョウ〉(2021.3.19)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-83
〈飛べないチョウ〉
今日も暖かい1日だった。菜の花の周りにはモンシロチョウやベニシジミが飛び回り、長閑な時間が流れている。菜の花は食用に育てたものでもう食べるところはない。タネ用に2~3株残しておけばいいのだが、こうして毎日チョウやハチがやってくると処分するのがついつい後回しになってしまう。黄色い花は遠くからでも目立つらしく、通りがかりの人も、「少し分けていただけませんか?」などと畑に入ってくる。景観的にも少しは春らしい雰囲気になるようなのでもう少し残しておこうと思う。
花から花へと敏捷に飛び回るチョウがいる一方、足元で逆さになりながらバタバタともがいているモンシロチョウがいた。うまく飛べずに、地面の上で羽をばたつかせている。どうしたのかと表返しにしたら翅が開ききっていない。サナギ時代に何かアクシデントがあったのだろうか、規則正しく折りたたまれているはずの翅が変な場所に折り目がついて開かないのだ。どうあがいても裏返しのままバタバタしているだけで飛べずにいる。恐らく1時間もしないうちにカラスかヒヨドリに見つかり食べられてしまう運命なのだろう。
自然界で生き残るには、強くて丈夫な体と強運が必要なのだ。これからこの畑でもたくさんのチョウが生まれていくが、生き残れるのはほんの数頭であとは他の生き物のエサになる。そうやって生き物同士はお互いに繋がりあって生きていく。飛べないチョウにも飛べないなりの役割がちゃんとある。
▶PDF版をダウンロードする 2021.3.19 NO152-83 飛べないチョウ.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-80〈里山歩き〉(2021.3.16)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-80
〈里山歩き〉
横浜市青葉区にある"寺家(じけ)ふるさと村"という里山を歩いてきた。
昔ながらの田園風景が広がっていて広さはなんと120,000㎡。雑木林の谷筋に何枚もの田んぼが連なり、引水用のため池が点在している。
山道を歩き始めるとすぐにスミレが見つかった。種類は分からないが、葉の形や花の色からすると少なくとも 3~4種類はあった。ウグイスがまだうまく歌えずケキョケキョと鳴いている。テノールの大音量で歌うのはガビチョウ。ヤマガラがせわしなく木の枝を飛び回りしきりに何かつついていた。尾根から谷筋に下りていくとヤマルリソウがたくさん咲いていた。薄い青色の可愛い花だ。キイチゴと思われる白い花やウグイスカグラの朱色の花も見つかり、春風に揺れていた。
田んぼを見ながらおにぎりを食べていると、畦道に黄色いチョウが飛んでいるのが見えた。遠すぎたので写真も撮れなかったが、キタキチョウだったのだろうか?池にはカメが数頭甲羅干しをしていたが、どうやらここにいてはいけないミシシッピーアカミミガメのようだった。
在来種も外来種も入り混じっての里山風景、人の手が入った自然だが、だからこそ保たれている風景でもある。田んぼに水が張られたころ、また行ってみようと思う。
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イノッチのシェアリングネイチャー No.152-82〈子どもが変わる時〉(2021.3.18)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-82
〈子どもが変わる時〉
今日は年少さんと山遊びの日。初めは"ジャングル探検"と称して、笹やぶの中を歩く。園児の背丈をはるかに凌ぐ笹の中は彼らにとってはまさにジャングル!半目を開けながら未知の世界に踏み込んでいく。その後は、恒例の崖下り。かなりの斜面をお尻をついて滑り下りていく。恐怖心と闘いながら一方で冒険心もくすぐられて何度も挑戦する。
「こわいこわい!」とビビっていた子も、一度自力で下りられると次からは楽しさの方が勝って上手に下りられるようになる。お尻のつき方、足の運び、手の動き、適度な斜面の選択、遊びながら身のこなしを獲得していく。あっと言う間の成長だ。木の股を踏み越える遊びも、一人でできるようになると、「どうだ!」と言わんばかりの自信たっぷりの顔になる。何とも言えないいい顔だ。
木の枝に落ち葉を挟んだ"焼き鳥"ごっこも大人気。大人には何でもない"枝に葉っぱを刺す"行為も園児には難しい。どんな葉が適しているか、どこをどの程度の力で刺せばいいか全て体験の中でしか学べない。斜面、切り株、木の根っこ、枯れ枝、石ころ、穴ぼこ、、、。山遊びにはいろんな障害があるからこそ、それを乗り越えた子ども達はどんどん逞しく、しなやかになっていく。
死んでいた小さな虫を見つけた子が、「かわいそうだからお布団かけてあげよう」と落ち葉をかけていた。そんな優しさが生まれるのも山遊びの効果かもしれない。
▶PDF版をダウンロードする 2021.3.18 NO152-82 子どもが変わる時.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-81〈出会いの楽しみ〉(2021.3.17)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-81
〈出会いの楽しみ〉
藤野にカタクリの自生地があるので見に行った。が、まだ早すぎたようでチラホラしか咲いていない。目的地を陣馬山に変えて"花見山行"としゃれこんだ。登山目的ではないので、花を探しながらノンビリ歩く。
最初に目に留まったのはカントウタンポポ。まだ西洋に凌駕されずに頑張っている。斜面の畑に生えていたのはトウダイグサ。不思議な花のつき方をしている。暖かいせいか、テングチョウやキタキチョウが盛んに飛び回っていた。キケマンやムラサキケマンは下山道で見つけた。これも、変わった咲き方をする花だ。この花の形はどうやらハチの受粉と関係しているらしい。5弁の黄色い花はヘビイチゴのようだ。地面に這いつくばるようにして咲いていたのはキランソウ。濃い紫がきれいでわざわざ庭に植えている草だ。
この時期、花たちは競って咲き始めるので、うかうかしていると旬を逃してしまう。どこでもいい、行く先々で出会いの瞬間を楽しもうと思う。何に出会えるか、まさにその時の運次第。そこがいいしそれが楽しい。自然は生きているのだ。
▶PDF版をダウンロードする 2021.3.17 NO152-81 出会いの楽しみ .pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-79〈自然とわたし〉(2021.3.14)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-79
〈自然とわたし〉
昨日の雷雨で畑はタップリ雨水を吸い込み野菜や草たちも生き生きとしている。目を閉じ4~5回深呼吸をした後、ネイチャーゲームの〈自然とわたし〉をやってみた。椅子に座り、感じ取った周りの自然を1つずつ太ももにあてた指先で体に押し込んでいく。目を開けた瞬間まず飛び込んできたのが青い空と白い雲。そして、菜の花、ヒヨドリの鳴き声、風に揺れる笹、モズ、背中に感じるお日様のぬくもり、遠くの山、ダンコウバイの花、栗の新芽、子どもの笑い声、モンシロチョウ、麦の葉、頬に当たる柔らかな風と続いた。
足元に目を向けると、ナズナ、ホトケノザ、オオイヌノフグリ、葉っぱに付いた水滴、草の芽、テントウムシ、飛び回る虫、自分自身の影、と次々に目に飛び込んでくる。指先で一つずつ押し込んでいくと、自然が体の中に溶け込んでいくのを感じる。と同時に、自分自身もこの花や虫たちと同じ自然の一部としてここにいることが、当たり前の風景になってくる。〈自然とわたし〉は畑でよくやるアクティビティ、自然のリズムに同化していく心地よさを感じるステキな時間だ。
▶PDF版をダウンロードする 2021.3.14 NO152-79 自然とわたし.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-78〈ダンコウバイとサンシュユ〉(2021.3.13)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-78
〈ダンコウバイとサンシュユ〉
公園にもしゃもしゃっとした黄色い花が咲いていた。「サンシュユ?」と思ったが自信はない。
畑に咲いていたダンコウバイと比べたらどうも一緒のようだった。数日後、公園の別の場所で似たような花を見つけた。名札を見たら「サンシュユ」とあった。写真に撮って比べてみたらダンコウバイと明らかに違っていた。サンシュユとダンコウバイの区別がつかなかったが、"よ~く見たら"いろんな違いが見えてきた。
どちらも小さい花の集まりだが、ダンコウバイには花柄がなくボンボンのような形。一方のサンシュユは花柄が長く、かんざしを挿したようだ。もっと違いが分かるのは、木肌と生え方。ダンコウバイは肌がきれいで株立ちだがサンシュユはガサガサの肌で1本立ち。クスノキ科でほんのりいい匂いがするのがダンコウバイで、サンシュユはミズキ科。こんなに違いがあったのに、気づけなかった。
"よ~く見る"ことで、見えなかったものが見えてくる。見えることでまた一つ世界が広がり、ハート銀行に預金がたまる。
▶PDF版をダウンロードする 2021.3.13 NO152-78 ダンコウバイとサンシュユ.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-77〈アサギマダラの幼虫〉(2021.3.12)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-77
〈アサギマダラの幼虫〉
高尾山にハナネコノメを見に行った際、もう一つ収穫があった。アサギマダラの幼虫だ。
「毎日の理科、その思想」を書いていらっしゃる露木和男先生から教えて頂いたもので、キジョランに食痕があったらアサギマダラの幼虫がいる可能性が高いとのことで、歩きながら探してみた。イロハの森に入ったらすぐにキジョランがあり、丸い食痕が見つかった。そんな簡単には見つからないだろうと思いながら、葉の裏を4~5枚めくってみたらラッキーなことにすぐに見つかった。規則正しく並んだ黄色いポツポツが夜行寝台列車の窓のようでカワイイ。
幼虫はキジョランに含まれる毒を体内にため込み天敵から身を守っているとのこと、なかなかの知恵者だ。アゲハチョウの幼虫のように、鳥の糞に見せかけて身を守るものもいるがこちらは毒をため込んで防御している。幼虫も成虫も、敢えて目立つ色をすることで敵から身を守る算段なのだ。
昨年夏、長野の八島湿原で吸蜜している成虫を見つけた。ひょっとしたら高尾山で育った個体がここまで来たのかもしれない。などと勝手な空想をするのは楽しい。何せ、2,000㎞もの距離を旅するチョウだ、高尾山から長野は何でもない距離かもしれない。キジョランは高尾山の至る所にあるので、その気になって探せばたくさんの幼虫に出会えるはず。次は、羽化した成虫にお目にかかりたい。
▶PDF版をダウンロードする 2021.3.12 NO152-77 アサギマダラの幼虫.pdf
3.11に寄りそい、未来につなぐ
東日本大震災の日から、10年が経ちました。
震災の日の後、援助物資の配達の手伝いに行きました。
その後、日本シェアリングネイチャー協会の3役の方と現地の県シェアリングネイチャー協会の方の案内で、各地を回ったことを思い出しました。
その中で、我々のできる支援を相談し、すぐに立ち上げた「お茶っこ広場」には、全国各地の会員の方から、多くの名物のお菓子が集まり岩手、宮城両県シェアリングネイチャー協会の力で何年も続きました。
その後は、熊本地震や、広島の災害でこの経験が生かされています。多くの全国の会員の仲間が、お菓子や、飲み物、寄付を送り、今も支えてくれているのです。
先日も、東北の被災地を回りました、津波で見るも無残な状態だった集落は、きれいに片づけられ、高台には住宅も少しありました。新しい立派な道路ができ、堤防、港湾施設、復興住宅、鉄道や、駅の周りには、新しい活気が感じられました。
震災メモリアルの伝承館は、いくつか作られ、陸前高田伝承館の奇跡の一本松は、ポツンと立っていました。周りの植林が進むと、また松林になる日が来るのでしよう。
しかし、福島の原発近く国道には、相変わらず「帰還困難区域」の看板が、道路や、建物は柵で囲まれていました。近くにある、「原子力災害伝承館」で、語り部のお話を聞きました。
まだ家には帰れない、早く帰りたいというそのお話は、心を打つものでした。
最後に何を質問してもいいというので、一人の方が、「原発は賛成ですか、反対ですか」と聞きました。
この方は、躊躇しておられましたが、「やはり反対だな」と言いました。
私たちは、どこに住んでいようと、いつまでも、3.11を忘れることなく、この先の未来を考えていきたいものです。
2021.3.11
公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会
代表理事 西澤信雄
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-76〈10回目の3.11〉(2021.3.11)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-76
〈10回目の3.11〉
今日は10回目の3.11、あれからもう10年が経ってしまった。10年経ってもまだ元の場所に戻れない人、悲しみや絶望や後悔で前に進めない人、インフラや建物が復旧しても心が取り残されたままの人、まだまだたくさんの人があの時の時間を背負ったままでいる。
震災後、ボランティアの真似事で何度か被災地を訪れたが、被災された方がどんな思いで日々を過ごしていたのか想像でしか分からないし、実際はそんな想像をはるかに超えたところで遺された方たちは必死に生き抜いてきたに違いない。
大川小学校にも何度か訪れたが、行くたびに津波に飲み込まれた子ども達の阿鼻叫喚が耳に届き、とても辛かった。だが家族にとってはそんな部外者の合掌など何の慰めにもならなかっただろう。
午後2時46分、畑で静かに手を合わせた。手を合わせ、決して忘れてはならないと誓うことで自分自身に折り合いをつけた。今はそれしかできないが、いずれコロナが終息したら、また石巻に行ってみようと思う。
▶PDF版をダウンロードする 2021.3.11 NO152-76 10回目の3.11.pdf
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