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自然を楽しむ・自然から学ぶの記事一覧

イノッチのシェアリングネイチャー No.152-62〈春は黄色から?〉(2021.2.22)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-62

〈春は黄色から?

黄色い花が咲き出した。畑では菜の花や虹菜苔、公園ではヒイラギナンテン、ダンコウバイ、ミツマタが競い合って咲いている。タンポポも地面に密着したまま咲き出 した。

昨日、今日と暑いくらいの陽気で強 い日差しに照り返されているせいか、やけに黄色い花が目立った。早咲きの桜も薄い ピンク色でそれなりに目を引くが、鮮やかな黄色には勝てない。まだまだ冬枯れの様相が 濃く残っているこの時期、黄色は目立つのだ。

畑一面に菜の花が咲き、田んぼの畔にはタンポ ポの群落が咲き出す。"あぁ、春が来たな~" とやっと冬から解放された人々にとって、この黄色は希望や幸せを呼ぶ色に違いない。

『幸せ の黄色いハンカチ』という映画があったが、長 いお務めから妻の元に戻った健さんが、青空いっぱいにはためいていた黄色いハンカチを見た時、どれほどの安堵と幸せを感じたことだろう。

どうやら黄色には人を元気にし、幸せな気分にしてくれる効果があるらしい。 春の虫たちも同じくこの黄色に魅せられてやってくる。人の見え方とは違うようだが、黄色は虫にとっても目立つ色でまさに幸せの色。そこにいけば花粉や蜜にありつけるありがたい色だ。一斉に咲き出した黄色い花は人にも虫にも元気と勇気と活力を与えてくれる。

1 年以上にもわたるこ の鬱屈としたコロナ時代に終止符を打つべく、黄色の秘めたるパワーを"鬼滅の刃"に替えられたらと思う。

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.22 NO152-62 春は黄色から?.pdf


イノッチのシェアリングネイチャー No.152-61〈富士山という山〉(2021.2.21)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-61

〈富士山という山

富士山が見える山に登った。愛鷹山系の、蓬莱山、呼子岳、越前岳の週回コースだ。

コースタイムは5 時間半。途中、"大杉"があり、挨拶した。幹回りは優に3メートルは超える巨木だ。幹に耳を当て静かに木の鼓動を聞いてみる。耳の奥の奥の方で何かささやく ような音が聞こえる。葉擦れかもしれないし小鳥が枝をつついている音かもしれない。優 しい音で、しばし聞き入ってしまう。恐らく100 年単位で生きてきた大杉、ハグしてパワ ーをもらった。

若い頃、富士山という山は好きになれなかった。あまりにも整いすぎて非の打ち所がなく、美の象徴のような存在。花にも海にも湖沼にも、田んぼや畑や遊園地、電車や高速道路、学校。どの風景の中にあっても似合ってしまう富士山。切手にもお札にも記念硬貨にもなり、みんなから、"富士山、富士山"と愛されている山。へそ曲がりなのか、単なる美しいものに対する嫉妬心からなのか、はたまた、美に照射される自分自身に耐えられなかったのか、とにかく富士山という山は好きにはなれなかった。若い頃は。

でも、いつの頃からか、あの裾野を広げ雄大にデンと構える整った富士山の美しさを、そのまま"ああ、きれいだな~"と素直に受け入れられるようになった。長生きはしてみるもんだ。

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.21 NO152-61 富士山という山.pdf


イノッチのシェアリングネイチャー No.152-60〈孤高のハンター〉(2021.2.19)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-60

〈孤高のハンター

モズという鳥が好きだ。スズメより少し大きい鳥だが、ワシやタカなどと同じく肉食なので小さな猛禽類 などとも呼ばれている。バッタやトカゲ、時にはカエルまで捕まえてしまうハンターだ。

嘴は肉食にふさわしく、タカのようにカギ状になっていて見るからに痛そうだ。この嘴で捕まれたらバッタもトカゲも万事休すだろう。愛らしい目をした小鳥だが小動物にとっては恐ろしい天敵に違いない。

モズの"はやにえ"は有名で、木の枝や有刺鉄線などに獲物を突き刺す行動は良く知られている。畑にある木にもバッタが3匹ほど突き刺さっていたことがあった。狩りの瞬間はまだ目撃したことがないが、いつも1 匹で木の上から獲物を探す様子は"孤高のハンター"のようでかっこいい!。

大昔、狩り"をしていた頃の先祖の血が突然フッと騒ぎ出し、モズと一緒に獲物を狙うハンター気分になっていたのかもしれない。モズは"百舌"と書いて、いろんな鳥の鳴き方をするそうだが、未だ聞いたことが ない。どうも、あまりにうますぎてモズが鳴いているとは気づかないのかもしれない。

秋口、尾を振りながら"キチキチキチ キチキチキチキチキチキチー"と鳴く高鳴きは有名だが、先日小金井公園で、かなり長い時間けたたましく鳴いている場面に出会った。姿は見えなかったが、何十秒もの間ずっと泣き続けていた。「おいおい、息継ぎなしで大丈夫か?」と思わず突っ込みを入れたくなるほどだった。あの様子だと単なる縄張り宣言ではなく、何か外敵に対する威嚇行為だったのかもしれない。

小さいけれども、かわいいけれども、生きるためには手段を選ばないとばかりの孤高のハンター、なんかかっこいいんだよな~。次は是非ともハンティング場面を撮ってみたい。

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.19 NO152-60 孤高のハンター.pdf


イノッチのシェアリングネイチャー No.152-59〈生まれたよ〉(2021.2.18)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-59

〈生まれたよ

公園の散歩コースを歩いていると、足元にコナラのドングリが芽を出し始めている。

あ っちにもこっちにも、"待ってました~"とばかりに春の日差しを浴びていた。なぜかわからないが、子葉が赤っぽいのと黄緑っぽいのとがある。コナラのドングリは落ちたすぐに地面に植えるとほぼ 100%発芽する。

クヌギやマテバシイでもやってみたことがあるが 結果はどれも同じで、簡単に発芽する。でも、自然の状態ではこうはいかない。何百何千とドングリを落としても、たまたま条件が良かった数個だけが発芽し、あとは干からびて土に還る。運よく発芽しても、そのほとんどは大木の陰で枯れてしまう運命だ。

ネズミやリスの貯食行動を利用し遠方に仲間を増やすドングリの作戦はあらかじめプロ グラミングされたものなのか、それともたまたまそうなったのか?海に浮かんで遠くの島に仲間を増やすヤシの実、果肉を鳥に食べさせて糞と一緒にタネを散布させる赤い実、風の力を利用して遠くまでタネを飛ばす綿毛、動物の体に付いてあちこちにタネをまき散らすひっつきむし。これらの現象が植物の知恵だと言う者もいるが、たまたまそうであって人間が勝手に意味づけしたものに過ぎないという説もある。生き物同士の繋がりをロマン仕立てで語るなら前者なのだが、果たして真相やいかに???

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.18 NO152-59 生まれたよ.pdf


イノッチのシェアリングネイチャー No.152-58〈マンサク〉(2021.2.17)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-58

〈マンサク

いつも散歩コースになっている相模原公 園、澄んだ青空にマンサクの花がひときわ 目立って咲いていた。細ヒモのような花弁が何本も垂れ下がって咲く不思議な花だ。 少し前までは気にも留めなかったし、モシ ャモシャの花は何やら得体のしれない生き 物のようで好きではなかった。

それがどういうわけか「おもしろい」となり、「不思 議な花」となり、やがて「好きかも」と変わっていった。ま、食べものの嗜好も歳と 共に変わっていくので、花に対する思いも 変わっていってもなんら不思議はない。

今まで気づかなかったその花の"良さ"がよ うやく分かる歳に近づいたということだ。

マンサクは春一番に"まず咲く"から転 じてマンサクになったという説が有力だ。 満作とも言い、縁起のいい花として"豊年 満作"などと昔からもてはやされている。

梅や早咲きの桜と同じような時期に咲き出すが、楚々とした花らしい花の彼女らとは違って、ザンバラ髪を振り乱して好き勝手に花弁を伸ばしているマンサクのなんと自由気ままなことか。"は~るだはるだ、はるがきた ~♪"なんて浮かれて踊り出しているようでとても愛らしい。

この花が咲き出すと、木 々の新芽もどんどん膨らみ 若葉が萌え始める。

冬枯れの野山にもまた春が巡ってきてたくさんの命で溢れか える。コロナで日常がガラっと変わっても季節は確実に動いているのだ。

先が見えないトンネルの中で、ふと傍らに目をやると春がそこに来ている、そんな変化に気づける今ここへの関心を日常的に持っていたい。

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.17 NO152-58 まんさく.pdf

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イノッチのシェアリングネイチャー No.152-57〈黒いあいつ〉(2021.2.16)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-57

〈黒いあいつ

このところ、"黒いあいつ"が畑の周りに 群がっている。その数、30~40 羽。隣の畑になにやらエサになりそうなもの(どうも糠のようだが)をまいたせいかもしれない。人が 近づけばさすがに飛び立つが、あの黒くて大きい鳥が数十羽も群がっているとちょっとビビる。昔、ヒチコックの「鳥」を観たがカラ スと言えども集団で襲いかかってきたらかなり怖い。

現に、子育て中の巣近くを知らずに歩いていたりすると、後ろから襲われたりする。賢い鳥だから、人間の顔も覚えているそうで、私の顔も覚えられているかもしれな い。

以前、ブルーベリーを覆っていたネットの中に入りこんで出られなくなったカラスがいたが、その時、周囲にたくさんの仲間が集 まって、ガーガー鳴きかわしていた。

「大変だ!仲間がつかまりそうだ、何とか助けなくちゃ。犯人はあいつだ、あの顔よく覚えておけよ、あいつは危険人物だぞ」と間違いなく "緊急事態"を仲間に知らせている鳴き方だっ た。

以来私がいる時には畑にはあまり近づかなくなったが、あの時の異様とも思える鳴き方はまさに仲間の危機を心配しての鳴き声だった。

物を食い荒らす、糞害もひどい、うっかりしていると襲われる危険もある、そんなカラスだが、他の鳥とは違う"何か"特別なものを感じ る。時に人を小ばかにしたような鳴き声や、哲 学者然とした顔つきでこちらを観察するような仕草は何かの化身のようにも思える。 "危険人物"なのでなかなか近づいての写真は撮れないが、今度知恵比べしてみようと思う。

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.16 NO152-57 黒いあいつ.pdf

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イノッチのシェアリングネイチャー No.152-26〈でかすぎる~!〉(2021.2.15)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-26

〈でかすぎる~!

毎日庭のキンカンを盗みに来るヒヨ ドリ、雨が降ってもやってきた。丸ごと一個咥えたはいいが大きすぎるのかなかなか口の中に収まらない。嘴で挟んで潰そうとしてみたり、無理やり飲み込もうとしたり・・・・。ミカンと違って結構皮が硬いので、簡単にはむけない。

何度もあれこれ試しているが一向に口の中には入っていかない。笑いをこらえながらしばらくレンズを覗 き、最後まで見届けることにした。雨が降っているせいか、あのぼさぼさの頭の毛はムースを付けたようツンツンに なって愛嬌たっぷりだ。

ミカンが生ってる時もそうだが、彼ら は甘くなる時期を狙って盗みに来る。酸 っぱいうちには手を(口を)出さない。 ネットをかけて守る手もあるが、ま、この 程度なら分けてあげてもいい。黒いあいつだと大きいので被害も甚大だが、ヒヨ ドリならかわいいもんだ。畑では白菜やブロッコリーの葉を丸坊主にしてくれるいたずらっ子だが、こんな憎めない仕草をされては、邪険にもできない。許してやろう。《ウー、でかすぎて口に入らない》

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.15 NO152-56 でかすぎる~!.pdf

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イノッチのシェアリングネイチャー No.152-55〈ひこうき雲〉(2021.2.13)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-55

〈ひこうき雲

夕日に赤く染まった"ひこうき雲"、昼間の白いのは"ヒコーキ雲"、なんの感情も伴 わない時には"飛行機雲"。何が違うのかと問われても、こればかりは説明のしようがな い。自分の中では、西に向かって引かれたこの日の赤い筋は、"ひこうき雲"と表現する のがぴったりなのだ。冷たい冬空に引かれた 1 本の赤い線は、公的な飛行機雲よりもなん となく暖かみのある"ひこうき雲"の方が収まりがいいし、この時の気分にぴったりだ。

『言葉の羅針盤(若松英輔著)』のなかで、"漢字が直接的に普遍性を求めるのに対し、 かな文字には「私」という通路を経て普遍にたどり着こうとする動きがあるように感じら れる"とあった。時にはひらがな表記の中に「私」の意思を忍ばせたいと思う。

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.13 NO152-55 ひこうき雲.pdf

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イノッチのシェアリングネイチャー No.152-54〈ぶらーり、いい気持ち〉(2021.2.12)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-54

〈ぶらーり、いい気持ち

鈴懸の木(スズカケノキ)、またの名はプラタナス。葉っぱを落としたこの時期、ピンポン玉のような大きさの球果がそれこそ鈴なりになる。

鈴がたわわに木にかかっているの で"鈴懸"かと思ったら、別の説もあった。山伏が着る"鈴懸"という法衣についている 房の形に似ているからというものだ。どちらの説でもいい、"鈴懸"と命名したこと自体しゃれていてステキな名前だ。

"プラタナス"も何か都会的な響きがあって、ビルの谷間に植えられた街路樹は、周囲の風景にマッチしている。"広い葉"という意味らしいが、 こっちは鈴よりも大きな葉に着目しての命名だ。この球果が欲しくて、長い棒で叩いてみ たが、簡単には落ちない。のんびり風に揺られてるだけかと思いきや、なかなかの頑固者だった。しかも硬くて、これで頭をたたいたら目から火が出るほどだった。

こちらは、"ハンカチノ木"の球果。真っ白なハンカチのような花が咲いたあとにこん な実ができる不思議さ。ちょっとグロテスクな幼虫から華麗なチョウが誕生するのとは反対に、清楚なハンカチから生まれたじみーな果実。落ちて腐りかけた実の果肉部分を取り 除くと、アーモンド型のタネが1つ出てくる。硬くてちょっとやそっとでは割れない。タ ネを蒔いても発芽率が悪いそうだが、その硬さがハスのタネのようにいざという時に役に立つのだろう。この実もたくさん木についていて気持ちよさそうにぶらーりとしている。 さむーい夜、この実に霜が降りて月の光に照らされたら、"モチモチの木"で豆太が見たような灯りがともるだろうか

▶PDF版をダウンロードする 2021.2.12 NO152-54 ぶらーり、いい気持ち.pdf

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