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自然を楽しむ・自然から学ぶの記事一覧

イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-33〈大きなカブ〉(2021.1.17)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-33

〈大きなカブ

"おじいさんがカブをひっぱって、うんとこしょ どっこいしょ それでもカブはぬけません。"

そのあと、おばあさんが来て、孫が来て、犬が来て、猫が来て、最後にネズミが来てやっとおおきなカブが抜けました。というロシアの話はたいがいの1年生の教科書に出てくる。

そこまで大きくはないが今季初めて作った大きなカブは、けっこう存在感がある。2年生の孫が抜こうとしたが本当に抜けなかった。測ってみたら4㌔あった。

薄く切ってコンブと市販の漬物用の酢を入れて一晩おけばあのぬめりのある"千枚漬け"が簡単にできてしまう。京都の千枚漬けには及ばないが、素人にしてはなかなかの味になる。

ダイコンや普通のカブと比べてみるとその大きさが際立つ。4㌔を片手に持ち上げて写真を撮ろうとすると、結構きつい。1㍉にも満たないようなタネから、たった3~4か月でこんなにも大きくなってしまうことにただただ驚嘆!

包丁を入れると水分を含んだはちきれんばかりの真っ白い肌が飛び出し思わず舌なめずりをする。来季も絶対タネを蒔く!

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.17 NO152-33 大きなカブ.pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-32〈みーつけた〉(2021.1.15)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-32

〈みーつけた

近くの公園にエノキの木があったので根元の葉っぱをひっくり返してみた。この写真を見て何者かが分かった方は恐らく少ないだろうし、1年前は私もその一人だった。

この時期、エノキの落ち葉の裏にはオオムラサキやゴマダラチョウ、アカボシゴマダラの幼虫が潜んでいるのだ。自分で見つけたのは初めてだったので少し嬉しい(ヨシッ、と小さくガッツポーズ)。

2匹見つけたが、どれがどれやら同定できない。家に帰って調べてみたら、左下の方は突起が4つで3番目が大きいのでアカボシゴマダラだ。右上のは突起が3つにも見えるし4つにも見える。3つだったらゴマダラチョウだがどうだろうか。どっちもアカボシだと悲しい。

このアカボシゴマダラは特定外来生物に指定され本来ここにいてはいけないチョウだ。人為的に持ち込まれたものが繁殖しどんどん広がっていき、生態系の攪乱が起きてしまう。"カワイイ" "きれい"だけで無責任に外来種を飼ってはいけない。

子どもの頃、"ソウシチョウ"というきれいな鳥を飼ったことがあるが、その鳥が今野生で繁殖している。インドや中国から持ち込まれた鳥で特定外来生物だ。安易な飼育が固有の生き物に大きな影響を与えてしまうことをどこかできちんと教えないといけないと思う。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.15 NO152-32  みーつけた.pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-31〈夕暮れ時〉(2021.1.14)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-31

〈夕暮れ時

もうすぐ日が沈むという時間帯、公園を散歩した。西日を浴びたメタセコイアとシルエットになったメタセコイアが対になって向かい合っている。見る場所によって陽になったり陰になったり、表と裏は状況次第でいくらでも変わってしまう不思議な光景だ。こうしてみるとメタセコイアはどれも見事な円錐形を成している。葉がついている時にも円錐形であることは分かるが、葉が落ちたこの時期はより鮮明に尖り具合が見えてくる。

1本の木をじっと見ていると、葉緑素を抜き取った時に透けて見える葉脈にそっくりだ。1枚の葉の葉脈と木全体の枝ぶりが相似形であることが面白い。花も実も葉も脱ぎ捨て、全ての飾りをそぎ落としてあるがままの姿で冬空に立つ姿は、一切の無駄をそぎ落とした修行僧のようで見ていてすがすがしい。人間もこうやって毎年リセットしながら生まれ変われたらどんなにいいことだろう。

あちこち写真を撮っているといつの間にか日が沈み、どんどん寒くなる。沈んだ日の向こうは真っ赤に燃えてくる。夕日に炙り出された木の枝が1日の終わりを惜しんで手を振っているようだ。夕暮れ時は何か寂しさを伴うものだが明日も必ず日は昇ることが約束されているので、一時の寂しさは希望に代わる。夕焼けは明日の晴れだけでなく希望をも連れてくると思いたい。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.14 NO152-31  夕暮れ時.pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-30〈カワセミ〉(2021.1.13)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-30

〈カワセミ

家からすぐ近くに鳩川があり朝の散歩中にカワセミを見つけた。翡翠と書き、飛ぶ宝石などと言われている。コバルトブルーの羽を広げ、"チーッ"と鳴きながら水面近くを飛び去って行く姿はまさに宝石そのもの。鳥の中で一番好きかもしれない。

子どもの頃遊んだ鳩川は、高度経済成長と共に汚れはじめ、洗剤の泡がぷかぷか浮かぶ死の川となってしまった。それから何十年、下水が完備し少しずつ水もきれいになって、魚も戻ってきた。

カワセミという鳥を知ったのは教員になって宮沢賢治の「やまなし」という作品に出合ってからだ。本物を見たかったがその頃の川にはカワセミはいなかった。餌となる魚が棲めるような川は山奥に行かないとなかった。

汚れた川が少しずつきれいになってくると、公園の池や近くの川にもカワセミが戻り、身近な鳥となった。人間が作り出した環境が生き物の生活スタイルにも大きく影響する典型例だ。

田んぼに農薬を使わず、ドジョウやタニシを増やしてコウノトリが自然繁殖できるようにした例や、森林伐採で大きな木の洞がなくなってしまった森に人工的な洞を設置し、シマフクロウの繁殖を手助けした例、食草となるカンアオイを植えてギフチョウを保護している例など、人間のせいで絶滅寸前に追い込まれている生き物を取り戻すには膨大な時間と費用がかかる。

鳥が生きられない世界は人も生きていけない。Today birds, tomorrow men 「今日の鳥は 明日の人間」。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.13 NO152-30  カワセミ.pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-29〈生きものの痕跡〉(2021.1.12)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-29

〈生きものの痕跡

朝目が覚めてカーテンを思いっきり開ける。目の前に一面の銀世界が飛び込み、雪の細かい結晶が朝日に照らされてキラキラ輝いている、はずだった!

何のことはない昨日と同じ埃っぽい世界がどんよりと現れただけ。

昨日の天気予報では「関東地方の平野部でも積雪があるでしょう」とあんなに言っていたのに、雨すら降らない。

いや、雪を期待していたわけではなく、12月からずっと雨らしい雨が降っていなかったのでとにかく水分が欲しいのだ。畑は土ぼこりが舞い、すでにタマネギは茶色く枯れ始めてきている。

ぼやいても仕方ないので、今日はカメラ片手に「生き物の痕跡探し」をしてみた。手袋をした手を更にポケットに突っ込みとにかくあちこち歩き回る。

こんな寒い日で生き物そのものは見つからなくても何時間前、何か月前は確かにそこにいた"証"がいくつも見つかった。きっと一つ一つの命がその時その時を懸命に生きていたに違いない。

抜け殻も食痕も巣穴も卵も、みんなみんな命の履歴。時が経ち、少しずつ風化はしてもその時に確実に生きていたという"動かぬ証拠"が次々に上書きされて命が繋がっていく。

そんな上書きされた"痕跡"はこの先ずっと見られるのだろうか?9 日放映されたN スペ、「2030・ 未来への分岐点①暴走する地球温暖化」が頭をよぎる。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.12 NO152-29  生き物の痕跡.pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-28〈野鳥を撮る〉(2021.1.10)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-28

〈野鳥を撮る

野鳥の写真を撮りに近くの川に行く。大 型のサギ類は被写体が大きいだけに撮りや すい。しかし、そうは言っても警戒心が強 く近くまで寄れないのでズームレンズを繰 り出すが、その分手振れをおこしうまくピ ントを合わせられない。ましてや、飛んで いるところをアップで撮るのは至難の技 だ。プロのカメラマンの写真を見るとカメ ラの違い以上に、根気と忍耐とチャンス、 加えて鳥の生態を熟知していることが必要 不可欠だ。散歩がてらに撮る素人写真とは 一味も二味も違うのは当たり前だ。いずれ じっくり腰を据えて、気が済むまで野鳥の 追っかけをしてみたいと思う。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.10 NO152-28  野鳥を撮る.pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-27〈氷柱〉(2021.1.9)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-27

〈氷柱

今朝 7 時の気温はマイナス3℃。昨日と同じくらい寒い朝。シャッターを開けると冷たい外気が流れ込み寝起きのふやけた体がシャキッとなる。

新聞を取りに外に行くと、水道のホースからつららが垂れ下がっていた。昨日庭に水まきをした際、きちんと締めなかったようだ。40㎝近くもあるつららで久しぶりに見た。

子どもの頃の家は藁ぶき屋根だったので、冬になると屋根からたくさんのつららが垂れ下がった。鋭い槍先が何十本も軒先から突き出ている光景は圧巻だ。長い棒を持って端から順に叩き落していく爽快感は今でも忘れられない。

藁ぶき屋根という特殊構造のせいかもしれないが、それだけではなく、冬は今よりずっと寒かった気がする。池に張った氷の上に乗っても割れなかったし家の中でさえ洗面器の水が凍ったりもした。霜柱やつららは当たり前に見られたし、水道管やボイラーの凍結もしばしばあった。

暖房器具の普及で冬でも快適に過ごせるようになる、車が普及して移動が楽になる、安定した電力でいつでもどこでも電化製品が使える。しかし、それと引き換えに空気中のCO2濃度は確実に増えている。自分の暮らしそのものが温暖化を招いている。冷たいつららの先っぽで頭をつついて目を覚まさないといけない。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.9 NO152-27  氷柱(つらら).pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-26〈生ごみのゆくえ〉(2021.1.7)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-26

〈生ごみのゆくえ

毎日のように生ゴミが出る。

そのほとんどが野菜くずだ。畑で収穫した野菜は根や葉がついたままなので、どうしても捨てる部位が多くなる。いわゆる"食べ残し"は出さないようにしているので、まだ食べられるものを捨てることはまずない。冷蔵庫に入れたままでとっくに賞味期限が切れたものでも、舌と鼻がOKならば食べている。

たまに、奥の方に埋もれて腐り始めた野菜が出てくることがあるがさすがにそれは捨てる。捨てるべき生ゴミは全て畑で処分する。

夏場は乾燥させてコンポストに入れる。自家製のぬか団子を一緒に入れておくと数日で発酵し、やがて堆肥となる。冬場はできるだけ水分を飛ばし、そのまま土に埋めることにしている。春までに分解するかは疑問だが、土中の微生物たちに任せるしかない。

落ち葉は集めるのが大変だが、生ゴミは毎日のように出るので、畑に行くたびに持っていく。

ゴミとして焼却されたら何の役にも立たないが、畑で分解されて堆肥になればゴミはゴミでなくなる。

日本の食料廃棄量は年間約2,800万トン、そのうちまだ食べられるのに捨てられるフードロスは約630万トン。食料自給率が37%しかないのに、海外から大量に輸入し、大量に廃棄している。

"もったいない"という言葉がMOTTAINAIとしてマータイさんによって世界中に広められたが、肝心の日本では一向にフードロスが減らない。

生ゴミを活用するしないはともかく、肉も魚も野菜も命あるものは最後まで責任をもって生かし切るようにしたい。お腹に入れるだけが生かすことではない、生かし方はいろいろあっていい。

堆肥が無理なら野鳥のエサに家畜のエサに魚のエサにもなるかもしれない。捨てることだけは避けたい。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.7 NO152-26  生ゴミのゆくえ.pdf

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.152-25〈山歩きの楽しみ〉(2021.1.6)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-25

〈山歩きの楽しみ

今日は山梨と静岡の県境の山を歩いたが、杉林の倒木の上に1~2㎝ほどの小さな木の芽がいくつも見られた。

間伐された木がそのまま放置されていて、朽ちかけ苔むした倒木に落ちたタネが芽を出しているのだ。"倒木更新"と言われるもので、自然林でも大きな木が倒れると飛んできたタネが朽木の上に芽を出し世代交代が行われる。倒れた木と同じ種のタネが芽を出すこともあれば他の種のタネが芽を出すこともある。タネが落ちた場所が明るい所ならすくすく育つし、木の下で日影になったところでは、発芽しても育たずに枯れてしまう。そうやって、何本かは生き残って次の世代に命を繋いでいく。この杉林も何も手をくわえずに1000年ほど放っておいたら、どんな森になるのだろうか。

次に目についたのは、奇妙な形をしたヒメシャラ。こんな形になるには一体どんなドラマがあったのだろうか。

「若い時に台風で折れかかった幹が持ち直してこんな形になった」「蔓がからまり養分が詰まった」「病気の一種で木の癌」「実はこの中に虫が巣を作っていて、巣の分だけふくらんだ」・・・・。

恐らくなにかのっぴきならない事情があったのだろうがいろいろ勝手に想像をするのは楽しい。

他にも縦にズタズタに裂けた木があったり、根回り4~5mほどの大木が根こそぎ倒れていたり、異種の木同士絡み合ってそのままくっついてしまったりと、そこここにドラマ が見られて飽きない。

一番感激したのはブナの大木。幹回りが2mはある立派なブナが何本も登山道にあった。急登続きで下ばっかり見ていたらブナのタネがたくさん落ちていた。「アレッ?」と思って顔を上げるとすぐ近くに大きなブナがすっくと立っていた。

ブナは木の中で一番好きなので、予期せぬところで会えると飛び上がるほど嬉しい。早速手袋を脱ぎ、スリスリした後ハグする。

こんな大木が何本も行く手に現れると多少寒くても、今にも雨が降りそうでも、急登で息が上がっても元気が出て気持ちも晴れる。平地では味わえない山の楽し み、歩けるうちはまた行こうと思う。

▶PDF版をダウンロードする 2021.1.6 NO152-25  山歩きの楽しみ.pdf

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