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自然を楽しむ・自然から学ぶの記事一覧

イノッチファームでシェアリングネイチャー No.43〈芽が出た?〉(2020.05.13)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO43

〈芽が出た?〉

突然ですが、三択問題です。

水を張った皿にゴーヤのタネを入れておきました。

数日経つとタネから白いものが出てきました(A)。

この白いものはなんでしょう?

①根 ②芽 ③カビ

土にも同じようにタネを蒔いておきました。

何日か経つと土がもっこりと盛り上がり(B)、やがて芽が出てきました(C)。

本葉も見え始め、見慣れたゴーヤの葉になってきました(D)。

(A) 葉はこのタネの中にあったもので、硬いタネの皮を破ってこの世に誕生します。

この地上部に子葉が出てきた状態を"発芽"と呼んでいるようですが、実は地上部に芽が出る前に見えない地中ではドラマが起こっているのです。

タネが皮を破って土を持ち上げ地上に顔を出す には、"支え"が必要です。

そのためにまず"根"が伸びて土の中で体を支える足場を作る必要があるのです。

種まきをした後は早く芽が出ないかと地上部ばかりを観察しているのですが、実は見えないところでタネはその生命活動を始めて いたのです。

(B)の段階で掘り起こしてみたものが(E)で、すでにこんなにも根が伸びていました。

1年生を担任していた頃、子どもたちとアサガオを育てましたが、タネを蒔いた後はひたすら"芽"が出るのをいつかいつかと待ち続けました。

土がもっこり盛り上がり地上部に何やら見え始めた時に"アサガオの赤ちゃんが生まれたよ"と報告に来る子どもたち。

それはそれでよいのですが見えない地中でのドラマを見せてあげられなかった、そのことに気づけなかったのが悔やまれます。

数値化とか、データ化とか、見える化とか、とかく目に見えるものが真実で説得力があるかのように思われがちですが、

本当に大事なものは目には見えないものなのだとゴーヤの根が教えてくれました。

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.42〈畑でテント泊〉(2020.05.12)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO42

〈畑でテント泊〉

コロナで山にも行けずキャンプもできず、それでも畑があるのでそれなりに充実した毎日ではあるが変化に乏しい。

そこで畑にテントを張って、「テント泊」を楽しむことにした。
日中は30度近くになってとてもテントを張るどころではない、夕方涼しくなってから設営開始。

ここは上高地ではないのだ。

場所は、もうすぐ"カボチャ"を植える予定地にした。
10日ほど前に草を刈り、干し草状態になっていたのでテントを張るには好都合。

結構フカフカしていて寝心地もいい。6時過ぎ、涼しくなってきたところで夕飯。

夜風に当たりながらお肉や野菜を焼いて食べる。ビールを忘れたのが何とも残念!1時間ぐらいで夕飯終了。

その後はゆっくりコーヒータイムとしゃれこむ。

至福の時が流れる。山の中ではないが、夜の帳が下りて星が瞬き始めるとそれなりの雰囲気になる。

8時過ぎ、テントに入って横になる。

"一人で静かな時間を"と思っていたら、クルマやバイク、飛行機、ドアを閉める音、人の話し声がひっきりなしに聞こえてくる。

近くに池や田んぼはないはずなのにカエルの鳴き声も聞こえてくる。

普段は気密性の高い部屋にいるので、静かな夜が当たり前なのだが、実はこんなにもいろんな音がしていたのだ。

そんな音のせいだけでもないだろうが、なかなか寝付けず、12時を回ってしまった。

そうやって何度かウトウトしていたら、カラスの鳴き声で目が覚めた。

時計を見たら4時過ぎ、あたりはもう明るくなり始めている。そのうちヒバリも鳴き始めた。

5時過ぎ、すっかり夜が明けると現実の風景が見えてきて、「あーぁやっぱりここは畑だった」と夢から覚める。

大自然の中ではないが、一時、つけっぱなしのマスクを外せた感覚になれたのは収穫だった。

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.41〈アシナガバチの巣作り〉(2020.05.09)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO41

〈アシナガバチの巣作り〉

畑のクリの木に簡易的な休憩所を作ったが、その横板の下にアシナガバチの巣があるのに気づいた。

4月下旬、クリの木周辺にハチが飛んでいたのは知っていたが、まさかこんなところに作っているとは!

まだ、巣作りが始まったばかりであの六角形の穴は2~3個しかできてない。

処分するなら今のうち!だが、巣は取らない。

なぜって、実はこのアシナガバチが巣作りをしてくれるのを密かに待ち望んでいたからだ。

31号でカマキリ誕生の記事を書いたが、アシナガバチにもカマキリ同様、野菜を食い荒らす害虫退治の役を担ってもらうのだ。

カマキリと違って行動範囲が広いから、イノッチファーム程度の畑なら簡単にパトロールできる。

今はまだ女王バチ一匹で巣作りをしているが、これからどんどん働きバチが増えてくるとあっと言う間に巣は大きくなり、それに連れて虫もどんどん食べてくれるに違いない。

期待しよう!

しかし、問題は相手がハチであること。

うっかりして刺激すると大変なことになる。気を付けなくては。

時々巣作りの材料を調達に行っているようだが、なぜか小屋の入口にある戸板に止まってしきりに板を噛んでいる。

どうやらこの板に含まれている物質が巣材のようだ。どこまで大きくなるか楽しみでもあり怖くもあり・・・。

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.40〈萌黄色〉(2020.05.08)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO40

〈萌黄色〉

この時期、新緑が美しい。生まれたばかりの若葉は緑よりも黄色に近い"萌黄色"。

小さくてやわらかくて透けて見えそうな赤ちゃんの葉っぱ、強風に煽られていると千切れてしま いそうでハラハラしてしまう。

今はこんなに弱々しいがお日様をいっぱい浴びてどんどん緑が濃くなり、いつの間にか全身が緑一色に染まってしまう。

そして秋風が吹き始める頃、ま た赤や黄色、茶色へと衣替えし葉っぱとしての役割を終えていく。

一枚の葉っぱの中に隠された多様な色彩の変化はまるで自然がなせるイルージョン!さすがの引田天功もマネできないだろう。

萌黄色・・・、萌木色とも萌葱色ともいい日本古来の呼び名だという。

調べ てみると平安時代には使われていたそうだ。ただ、萌黄と萌葱は違うらしい。葱の方は緑が濃いのだそうだ。

今のように化学染料がなかった時代、自然の中にある微妙な色の違いを豊 かな感性で命名したのであろう。

もえぎいろ、もえぎいろ、もえぎいろ、音の響きがなんともいい。

冬枯れのなか、裸木にしがみつくようにして硬く身を縮こませていた冬芽が、春の日差しを浴びて目を覚まし折り畳んでいた葉をゆっくりゆっ

くり開いていく。

裸木のあちこちに新しい命が生まれ、やがて木全体が新緑の海であふれかえる。

そんな萌え出たばかりの瑞々しい葉を"萌黄色"と。勝手な想像だが"もえぎ"という言葉の響きにはそんな生まれいずる命の賛歌が含まれているような気が
する。

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.39〈ルバーブの季節がやってきた〉(2020.05.08)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO39

〈ルバーブの季節がやってきた〉

5月に入り、いよいよルバーブが収穫時期を迎えた。

栽培を始めた10年ほど前にはまだ認知度は低く、ほとんどの人がその存在を知らなかった。

長野あたりの道の駅に行くとルバーブの茎やジャムがたくさん売られているのだが、それ以外ではなかなかお目にかかれない。

このルバーブ、葉っぱは50㎝ほどにもなり、見た目はフキに似ている。

酸味が強くとても生では食べられないのだが、ジャムにするとその酸味が効いてグンと旨くなる。

なぜか男性より女性に好まれる味なのだ。タデ科なので春先の花はギシギシやイタドリに似ている。

シベリア原産で暑さには弱いが、これから夏に向けて次々に新芽が出てきていくらでも収穫できる。

葉が枯れる11月頃まで収穫できるのでジャムの材料としては優等生だ。

ルバーブだけだと黄緑色で食欲がわかないので少しブルーベリーを入れて色付けする。パンやヨーグルトのお供としてバッチリの相性だ。

デトックス効果、便秘解消、歯や骨の強化、生活習慣病改善、ストレス軽減、免疫力アップ、強い抗酸化作用によるアンチエイジング、視力回復と、調べるといろんな効能があるようだ。

去年取ってお いたタネを蒔いたら4~5日で発芽した。

そろそろ新しい苗の替え時かな。ここ数年でルバーブファンが増えてきた。今年もジャム作りが忙しくなりそうだ。

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.38〈花に集まるお客さん〉(2020.05.06)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO38

〈花に集まるお客さん〉

農作業の手を休め、ふっと顔を上げたらダイコンの花にアオスジアゲハが吸蜜に来ていた。

急いでスマホを出してチョウを追った。そのままの撮影では被写体が小さいので画面を大きくして撮る。

が、動きが速い上に画面いっぱいにチョウが入るのですぐにフレームアオウトしてしまう。

なかなかシャープな画像にはならない。スマホの限界かな。

そうこうしているうちにもう一頭のアオスジアゲハが来た。

すると追いかけっこが始まりなおさら写真が撮りづらくなる。

数枚撮ったところで目を転じると、シュンギクの花の上に何やら動くものが・・・。

目を近づけるとどうやらバッタの幼生のようだ。

種類は分からないが、あちこちの花の上に数匹いた。

蜜を吸っているのかはたまた花弁を食べているのか、口元を調べてみたかったが、動き回るバッタに老眼でのピント合わせは至難の技。

いずれにしろ花にいるということは食事のためだろうと勝手に解釈する。

同じ花に今度はハナグモがいた。彼らは花に集まる虫が目当てなのだろう。

ここにいれば、獲物にありつけるだろうと虎視眈々とその時を待っている。

そのハナグモだっていつ何時天敵の襲撃に会うかもしれない生死の狭間にいるのだ。

次の世代を残すための戦いに安息の時はない。

カモミールの花にいたのは別のチョウ。

残念ながらチョウには詳しくないので同定はできない。

シジミチョウの仲間もたくさん飛来するので今年はチョウの仲間が同定できるようその都度写真に撮っておこうと思う。

野菜つくりも楽しいが、こんな風にいろんなお客さんがやってくるのが何とも嬉しい。

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.37〈イチゴの季節〉(2020.05.03)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO37

〈イチゴの季節〉

イノッチファームにイチゴの季節がやってきた。

えっ今頃?そう、露地栽培のイチゴは今が旬。

温室栽培がほとんどなので、イチゴの旬はクリスマスやお正月の頃と思っている人も多いが、今やっと食べごろを迎えるのだ。

なぜ今か?寒い時期は受粉を手助けしてくれる虫がいない。

四季咲きのイチゴもあるので冬でも花は咲くが虫がいないので結実しない

暖かくなりミツバチを始めいろいろな虫が盛んに蜜や花粉を集めに来る頃を狙って花を咲かせ実を生らせる。

そうやって今年も虫たちのお陰で大きなイチゴが生った。

ちなみに温室栽培のイチゴも暖かい温室内でミツバチに受粉してもらってる)

品種は分からないが、大きいものは500円玉をはるかに超えるサイズで、ホントにうまい!

完熟させるまで待つのでスーパーに並ぶイチゴとは甘さが違う。

店頭のイチゴは輸送過程で傷まないように完熟前に収穫してしまうので、甘みが薄いのだ。

イチゴ農家は完熟イチゴを食べて欲しいだろうに・・・。

海外から輸入されたイチゴはもっと悲惨!

防カビ剤を散布されて1か月も長持ちするイチゴになって出回っている。

これじゃ、イチゴも可哀そうだ。

見てくれだけでホントの美味しさが分かってもらえないまま、彩や飾り程度の存在になってしまう。

5月の陽光をサンサンと浴びて真っ赤に熟したイチゴ。

その場でパクリと食べると甘さの中にお日様のぬくもりが口中いっぱいに広がり、思わず顔がほころびる。

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.36〈驚嘆!虫たちの能力〉(2020.04.30)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO36

〈驚嘆!虫たちの能力〉

軽トラで畑に行こうとしたら、フロントガラスに"虫"が止まってた。

すぐに落ちるだろうと車を走らせたが、一向に落ちる気配はない。時速は30~40キロ、畑までは3~4分。

結局落ちずに少しずつ場所を変えながらそのまま張り付いていた。

車を止めてじっくり観察してみるとどうやら"クビキリギス"のようだ。

軽トラのフロントガラスは乗用車と違ってかなりの急こう配、60度近くある。

汚れているとはいえ一応ガラス、なんの突起もない。

そこに時速40キロの風を受けながらしがみつける能力!まさに驚嘆の極み!

一体どういう仕組みでこんな芸当ができるのか、不思議でならない。

カブトムシのように足の先には鉤爪があるのは肉眼でもわかる。しかし、いくら鉤爪があっても引っ掛けるものがなければ役に立たない。勾配のある滑りやすいガラス面にどうやって止まっていられるのか???

ほかに考えられるのは、タコのような"吸盤"説。足裏に吸盤があれば、時速40キロで走る車のガラス面にしがみつくことは可能かも?

家に帰って早速調べてみた。すると、テントウムシのようにバッタにも吸盤状のものがあることが分かった。

これで滑りやすいガラス面を歩くことができるのだ。

どうやらこの吸盤状の足裏は、飛び立つときにしっかり踏ん張れるように使われるらしい。今度足裏を詳細に調べてみようと思う。

私たち人間の暮らしが今のように豊かになったのは、多くの動植物の能力や生きる知恵をヒントにしてきたから。

人間の歴史よりはるかに長い時間をかけて生き抜いてきた地球上の生き物たちに敬意を払いながら、その隠された能力を活用させてもらえたらと思う。

恐るべし、虫たちの能力!

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イノッチファームでシェアリングネイチャー No.35〈はだしの感触〉(2020.04.28)

イノッチファームでシェアリングネイチャー NO35

〈はだしの感触〉

【まずはお見苦しい画像でごめんなさい!気持ち悪い方はすぐに閉じてください。】

昨日の雨で埃っぽかった畑がしっとりとしめり、澄み切った空気が畑を覆いつくしていた。

陽光に温められた土がとっても気持ちよさそうだったので久しぶりに靴と靴下を脱ぎ裸足になった。

まずは、切り株の上に裸足の足を乗せ、お日様をいっぱいに浴びてみた。

足の裏を湯たんぽのような柔らかな暖かさが包み込み、うっとりする。次は、湿った土の中に足を突っ込んでみる。

適度なひんやり感が心地よく、足の裏を伝わって大地のエネルギーが染み込んでくる。

そして体内に溜まった毒素(のようなもの)が抜け出ていくようで体全体が浄化されていくようだ。

次は草の上に足を置いてみる。水分を含んだ葉っぱは瑞々しく、足裏からはちきれんばかりの命が蠢きムズムズしてくる。

反対に枯れ草の上は冬の日に干した布団のようにフカフカしていて何とも気持ちがいい。

乾いた堆肥はおがくずの上にいるようでしっとり感がたまらない。黒マルチは熱を吸収してかなり暖かい。

野菜の成長にはいいがマルチの下にいる虫はひとたまりもない。

最後に雨水がたまっている場所に足を入れてみた。キュッとした冷たさに足裏が喜んでいた。

裸足になれば見えないものも見えてくる。こんな時こそ大地にしっかり踏ん張って、心の静寂を保とうと思う。

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