スタッフブログ
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-146〈白い十字花〉(2021.6.1)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-146
〈白い十字花〉
ドクダミが咲き出した。日影にひっそりと咲く白い十字花は清楚で美しいと思う。独特の匂いとネーミングで嫌う人が多いが、一輪挿しにさして玄関先にチョコンと置いたらそこだけ清らかな空気が漂うようだ。
4枚の白い花に見えるのは総苞といって花弁ではなく葉が変形したもの。ハナミズキやヤマボウシなどと同じ作りで花弁に見える。地下茎でどんどん伸びていくので草取りが大変だが、この時期だけは許せる気がする。薬草としても有名で子どもの頃飲んだ記憶がある。
蚊に刺されたときに葉を擦り込むとかゆみが消えるので、畑仕事や山歩きの時には重宝する。アルコールに漬けたものは虫よけとしても効果があるというのでやってみようと思う。花言葉は「白い追憶」、「野生」だそうだ。
▶PDF版をダウンロードする 2021.6.1 NO152-146 白い十字花.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-145〈オオルリ〉(2021.5.31)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-145
〈オオルリ〉
先日、八菅山にサンコウチョウがいるという情報を得たので早速行ってみた。確かに鳴き声は聞こえた。だが、姿は見えない。諦めてノンビリ山歩き楽しんでいると、長い望遠レンズを持った人がカシャカシャと連写モードでシャッターを押している。聞くと、オオルリがいるとのこと。レンズの先を見ると、杉の木の枝にメスが止まっていた。慌ててシャッターを押す。
すると・・・、「後ろに巣があるからもっと離れて!」と注意された。
申し訳ないことをしたと、すぐにその場を離れる。どうやら、エサを取って来たものの、人がいるのでなかなか巣まで運べないらしい。バイクに乗った方が、「そんな傍にいたらエサを運べないでしょ、下でも十分撮れるから移ってよ。」と他の人に注意していた。ほとんどの人がその場を離れ別の場所から撮っていたが、動かない人が二人だけいた。メス親は枝に止まったまま。10分ほどしてやっと巣の方に飛び立った。そうこうしているうちに、がっしりした三脚に大きなレンズを持った人たちが次々に集まり、総勢10人ほどになった。オス親が来ると一斉にシャッター音が聞こえる。みんな"いい写真"を撮りたいのだ。だが、オオルリの立場を考えると迷惑千万に違いない。安心して子育てができるよう、物陰に隠れ遠くからそっと見守るのが本当のバードウォッチャーなのだろう。他の人と同じく夢中でシャッターを押していたが、ハッと我に返る。オオルリに会えたのは嬉しいが、子育ての邪魔をした一人として、早々にその場を後にした。
鳥でも虫でも花でも、まず対象への愛情があっての写真だと思う。鳥だから、虫だから、花だからと、物言わぬ相手のことを考えず、自己満足のためだけの写真にどれほどの価値があるのだろう。鳥や虫や花が生き生きと輝いているような"いい写真"を撮りたいとは思う。だが、撮らせていただく以上、最低限のマナーは持ち合わせたい。人の写真を撮る時にはちゃんと了解を得てから撮る。鳥でも虫でも花でも"撮らせてください"と一言添えるのが礼儀だろう。ましてや、生き物の生活を脅かすほどの身勝手な行動はもってのほか、厳に慎みたい。
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.31 NO152-145 オオルリ.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-144〈誕生!畑のメダカ〉(2021.5.30)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-144
〈誕生!畑のメダカ〉
4月半ばに畑に作った池、ボウフラ退治にメダカを10匹ほど入れておいた。水が濁っていて良く分からなかったが、水面に鼻毛ほどの黒い物体が見えた。動いたらメダカ、動かなかったらゴミ。そう思って10秒ほど見ていたら・・・・、"動いた!"。畑の池で誕生したメダカの赤ちゃんだ。
ペットボトルの蓋に入れて早速記念撮影。このサイズ、この体形だとまだ生まれて日が浅い"針子"と呼ばれる赤ちゃんだ。卵がないかと水草の根を見たら、いくつも付いていた。中には目玉が見えるものもあって、これから毎日のように誕生するはずだ。生まれたてはボウフラより小さいので、親メダカに食べられてしまうこともある。が、それも自然界の掟、黙って見守るしかない。所詮直径60センチほどの小さな池、そこで生きられる数は決まっているはずだ。畑の池で生まれたメダカはここが彼らの世界、この小さな世界で生を全うするしかない。この後、トンボが卵を産んでヤゴが棲みつくかもしれない。野良ネコが水を飲みに来て一緒に口に入ってしまうかもしれない。そんな危険いっぱいの池だが、そこで生まれたらそこで生きるしかない。"ガンバレ!"
4月に設置した池だが、1ケ月半たって周りに草が生え、いい感じになってきた。リンゴの木の下なので直射日光は当たらない。雨水だけで充分、水は一度も足してない。メダカの学校、どこまで生徒が増えるか楽しみだ。
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.30 NO152-144 誕生!畑のメダカ.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-143〈森の色合わせ:夏〉(2021.5.29)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-143
〈森の色合わせ:夏〉
〈森の色合わせ〉夏バージョンカードが日本シェアリングネイチャー協会から送られてきたので早速庭でやってみた。今回は"青系"が多く初めて聞く色名もあった。水、露草、瑠璃、裏柳、苔、虫襖(ムシアオ)、梔子(クチナシ)、珊瑚朱(サンゴシュ)、茄子紺の9種。
"虫襖"とは、タマムシの翅のような深い緑色とあった。なかなかいい響きだ。茄子紺はまだナスがないから無理だろうなと思っていたら、意外や意外、すぐに見つかった。フキの茎がまさにその色、ヤブガラシの若い葉はどんぴしゃりだった。裏柳はアズキナシの葉の裏側がぴったり!表に比べて裏側の淡い色は色見本の上に置いたら完全にカモフラージュ。どんどん楽しくなってきた。梔子は若いキンカンを置いたらこれまたぴったりだった。狭い庭だが、くまなく探せばいろんな色が隠れている。
どうしても見つからなかったのは"水色"。庭じゅう探し回ったが見つからない。畑に行けばあるかもしれないと、畑で探すことにした。オオイヌノフグリはとっくになくなっているし、当てにしていたツユクサはまだ咲いてなかった。諦めかけたその時、ふと空を見上げたら雲の切れ間にあるではないか。海の色を映した水色が一面に広がっていた。和の伝統色探し、奥が深くてのめり込みそうだ。
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.29 NO152-143 森の色合わせ:夏.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-142〈知恵比べ〉(2021.5.28)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-142
〈知恵比べ〉
ズッキーニの苗が虫に食われてボロボロになってしまった。同じ日に定植した苗だが、防虫ネットをかけなかった3本はご覧の通り。犯人は"ウリハムシ"、瓜葉虫と書く。キューリやカボチャ、ズッキーニなどウリ科の野菜を食い荒らす害虫だ。
去年は大量発生してカボチャが大被害を受けた。コンパニオンプランツのネギやニラを近くに植えたり、嫌がるという光り物テープやCDを吊り下げたりしたが、ほとんど効果はなかった。虫取り網で捕ってはみるが、捕っても捕っても湧いて出る感じで一向に減らない。ついに根負けしてしまい、カボチャの収穫は例年の三分の一程度になってしまった。完敗!
今年こそリベンジ、苗が若いうちに防虫ネットで囲い外からの侵入を防ぐ。もう一つ"あんどん仕立て"といって、ビニル袋で囲ってしまう方法がある。風よけや保温にもなって一石三鳥だ。上部が開いているので入られてしまうかと心配だったが、なぜか今のところは被害な し。袋からはみ出るぐらいまで大きくなれば外しても大丈夫だ。飛び道具(農薬)は使わずに知恵で勝負!今年はうまくいきそうだ。
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.28 NO152-142 知恵比べ.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-141〈旅立ちの時〉(2021.5.27)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-141
〈旅立ちの時〉
池のオタマジャクシに手足が出て、いよいよ旅立ちの時を迎えた。春先、おびただしい数のヒキガエルの卵がやがてオタマジャクシになり、池を真っ黒にしてゆらゆら泳ぎ回っていた。
その間メダカやヤゴに食べられて激減してしまうが、生き残ったオタマジャクシは3ケ月くらいでカエルになる。そして雨の日を狙って上陸するのだ。今日は久しぶりの雨、気が付けば足元に7~8㎜程度の赤ちゃんガエルがうじゃうじゃ歩き回っていた。黒くて小さいからそれとは気づかず、踏んづけてしまうこともある。鳥やヘビに見つかったり、野良猫に弄ばれたりしてしまうものもいる。天敵から無事に逃げて大人になれるのはほんの数匹だけ、ほとんどが食べられて他の命になってしまう。そうやって自然界の生き物は繋がり合ってそれぞれの種を守っている。
生き残った赤ちゃんガエルも、虫を食べながら少しずつ大人になっていく。ガンバレ、赤ちゃんガエル!
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.27 NO152-141 旅立ちの時.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-140〈こもれびの森〉(2021.5.26)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-140
〈こもれびの森〉
久しぶりに"こもれびの森"を歩いた。
20年ほど前、この近くの小学校に勤務していた際、子ども達を連れてよく遊びに来た(いや、お勉強に来た)。この森も他と同じくナラ枯れが広がっておりあちこちで伐採されたあとが痛々しい。それでもこもれびが差し込む森は気持ちよく、ただ歩いているだけで心も体も満たされる。森の時間に合わせてのんび り歩くと生き物たちや花が目に入るようになる。この森があるから生きていられる花や虫たち、今日もヘルメットをかぶったボランティアの方が森の整備をしていたが、人の手によって守られている森であることをつくづく感じる。森の豊かさはそのまま人の暮らしの豊かさに直結することを、この森を歩き、五感で感じると分かってくる。ボランティアの方に感謝するとともに、これからもこの森を訪れ見守っていきたいと思う。
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.26 NO152-140 こもれびの森.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-139〈桑の実〉(2021.5.25)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-139
〈桑の実〉
散歩コースに"桑の実ロード"がある。勝手に命名したコースだ。毎年この時期になるとコース上に何本もある桑の木に美味しい実が生るのでこう呼ぶことにしている。触ってポロっと落ちるのが完熟していて美味しい。子どもの頃食べたことがあるが、たまたま未熟なものを食べたせいか、自分の中では"まずい"という印象しかなかった。大人になって、真っ黒に完熟した実を恐る恐る食べたらこれが実にうまい!。以来、桑の実ファンになって、毎年この時期になると指や舌をムラサキに染めながら食べ歩きをしている。
今年は手ごろな場所に大きな実のなる木があったのでたくさん採ってジャムにした。量ってみたら1kg弱。面倒なのでヘタは取らずにそのまま煮込む。小さい粒々のタネが気になるが、大した問題ではない。鳥が運んで勝手に生えた桑の木は、放っておくとどんどん大きくなる。根が深いので、小さな木でも抜くのが大変だ。あちこちに生えた桑から毎年大量の実が生り、それを鳥が食べてまたタネを蒔く。養蚕をしていた頃はきちんと管理されていた桑がこうしてあちこちにはびこってしまった。野に解き放たれた桑の木、果たしてどこまで勢力図を広げていくのだろう。厄介者にならなければいいのだが・・・・。
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.25 NO152-139 桑の実.pdf
イノッチのシェアリングネイチャー No.152-137〈オオルリシジミ〉(2021.5.23)
イノッチファームでシェアリングネイチャー NO152-137
〈オオルリシジミ〉
国営アルプス安曇野公園で"キバネツノトンボ"を探していたら、カメラを持った人が数人何やら狙っていた。カメラの先を見てみると、瑠璃色のきれいなチョウがいた。聞いてみると"オオルリシジミ"とのこと。観察会もやっていて、資料を持ったボランティアらしき人が数人のお客さんに説明していた。離れていたので話の内容は聞き取れなかったが、どうやら保護活動の内容を説明しているようだった。帰ってから詳しく調べてみたら、クララの葉を食草としているチョウで、現在は長野県の一部と阿蘇にしか生息していない絶滅危惧種、非常に希少なシジミチョウの仲間ということだった。
クララは牛が食べないため牧草地に残り、オオルリシジミが繁殖できる。が、畜産農家の減少や自然災害などで牧草地が荒れ、クララそのものが少なくなり、チョウも減少していくという道筋を各地でたどって行ったようだ。そんな中、ここ安曇野地区では市民ボランティアによるクララの植栽事業が功を奏してか、オオルリシジミが増加傾向にあるという。人間だけが生き残ればいいのではなく、こうした物言わぬ小さな隣人の存在に気づくことで改めて自分自身の生活様式の在り方を問うてみる。そんな考えるきっかけをこのチョウが与えてくれているのかもしれない。
▶PDF版をダウンロードする 2021.5.23 NO152-137 オオルリシジミ.pdf
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