今までの商品と違うところが一点あります。
それは「協力者名」が載っていることですが、気づきましたか?
これは日本協会スタッフで考案された商品ではなく、
初めて会員の方による発案から生まれた商品なのです。
2017年10月、
小さな子どもたちと
ネイチャーゲームを行う場合の
アレンジについて考えるセミナーが
「ねむの木保育園」(東京都町田市)
で開催されました。
その際、私は、セミナーの講師である
村田園長(ねむの木保育園)に
「このレンズのない虫メガネを使って、
〈ミクロハイク〉を実践してください」
とお願いをしました。
〈ミクロハイク〉とは
虫メガネを使って、
足元に広がるミクロの世界を探検する
ネイチャーゲーム。
ただし、幼児にとっては
虫メガネを使うことが
難しい場合もあります。
そこで早出幼稚園(静岡県浜松市)の
荒牧園長と職員が考案したのが
「レンズのない白厚紙で作った虫メガネ」
なのです。
セミナー当日、
村田園長が〈ミクロハイク〉の
アレンジの手法として
ご紹介してくれた、
この白い虫メガネ。
参加者全員にこれを配り、
「裏も白いので
好きに色をつけたり
絵を描いたりしてください」
とのひと言で、
みんな自由に絵を描き始めました。
さて、この時、
スタッフの一人として
参加していたのが中里裕子さん。
2色塗ってみたらおもしろくなり、
そのままグラデーションになるように
色をつけていったら
こうなったとのこと。
ここにいくつも
重なった偶然のひとつがあります。
中里さん作成の虫メガネ すべてはここからはじまった。
自分で作った、たんけんルーペ。
「きれい、きれい」と、
フィールドに持って行き、
初めは「白い方」で〈ミクロハイク〉を
楽しんでいたそうです。
ある瞬間、
ひょっと裏返したその穴の真ん中に
黄色い花が…。
この黄色い花に
虫メガネを重ねるように
置いていったら、
自分がさっき塗った黄色と
見事に一致!
ハッとなり、
他の色を探し始め、
中の穴から
自然物と重ねられるわかりやすさもあり、
だんだんと〈ミクロハイク〉そっちのけで、
色探しを始めたといいます。
「ほらほら、見て、この色と同じ!」
と周りの人にも見せたら
「いいねぇ、おもしろい」
と言ってくれたものだから
ウキウキ状態。
はずんだ気持ちで
たまたま近くにいた私にも
見せてくれました。
「あぁ、いいじゃないですか…ん?…これって…」
と頭の上に電球が灯るというのはことのこと。
「あぁ、いい。イケるかも」
とアイデアがひらめいたものだから、
「中里さん、これいいわ。
ちょっと考えたいことがあるの
でこの虫メガネ貸して」
と奪い取ってきました。
後日、日本協会の事務局に戻り、
ネイチャーゲームショップ担当の宮川に
「いい商品できそうだよ」と
経緯を話したところ、
「では見積もりを取ってみましょう」
と早速業者さんを呼び、
検討が始まりました。
業者さんからも
いろいろアイデアを
いただきながら検討すること2か月。
同時進行で、
レンズなし虫メガネの発案者である
荒巻太枝子園長にもアドバイスもいただきながら、
「柄があった方がよい」
「安全を考えて紐通しの穴はひし形がよい」
「内径と外径で両方楽しめるように二重の色にした方がよい」
などとアイデアが膨らみ、
商品の形にだんだんとなっていきました。
その間、私は大阪での
指導員対象アクティビティ体験会で
試作品を実践したり、
2018年6月の全国ネイチャーゲーム研究大会福岡県会場では
バラ園の色を楽しむ
「バラの色あわせサークル」を作ったりと
試行を繰り返していきました。
手作りの試作カード(左)と業者さんの試作品(右)
そして完成した「たんけんルーペ」は、
表面を使って色合わせ、
裏の白い面を使って〈ミクロハイク〉
という2通りの楽しみ方ができる
商品となりました!
もし、色ペンがきれいに並んでいなかったら…
もし、村田園長から「自由に描いていいよ」というひと言がなかったら…
もし、みんなが「それイイね」って言ってくれなかったら…
もし、そこに黄色い花がなかったら…
もし、それを私に見せてもらえなかったら…
という、いくつもの偶然が積み重なってできた商品です。
ネイチャーゲームショップでは、
このような会員の皆さんのアイデアや
こういう商品があったらいいのに
というリクエストをいただき、
今後も新商品を作っていきたいと
考えています。
商品化になった折には
あなたのお名前が載ります。
どしどしご意見ご希望アイデアをお寄せください。
お待ちしています。
1960年生まれ東京都中野区在住。
元日本シェアリングネイチャー協会職員。「日本どんぐり実物大図鑑」も作りました。