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保育・幼児教育
特集:子どもと話す!(SNL 36号/2022年7月号)
ネイチャーゲームで日頃、子どもたちと接する機会が多い指導員のみなさん。子どもたちとうまくコミュニケーションがとれていますか?話を聞かなかったり、あっちへ行ったり、こっちで転がったり、変なことを言ったり......(笑)。子どもたちとの会話コミュニケーションのコツを、児童心理に詳しい鈴木由美先生(豊岡短期大学こども学科教授)に伺いました。
子どもの「まだ、やるの?」に指導員はあたふたとパニック!?

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この特集では指導員の皆さんにアンケートを取り、日々のネイチャーゲームで、「いつ・どんな場面で・どんな会話のとき困ったか」を聞きました。すると、見えてきたの伝えることの難しさとまざまな年齢の子どもたちに興味を持たせるにはどうしたらいいかという悩み。



回答にはプログラムの中盤、次のネイチャーゲームに移るとに、子どもからの『まだ、やるの?いう発言に困りましたアクティビティに興味をてず、つまらなさそうな態度とマイナス発言をするなど、ストレートに興味を持てない発言をする子どもの対応に困惑する声が多くあがりました



皆さん現場ではうまく声けをして乗り切っていますが、内心はドキドキあたふたしているようです。年齢によっても違ってきますが、子どもと会話をするとき、どんな心構えを持っていると良いのでしょう アンケート回答を鈴木先生にも見ていただきながら、お聞きしました。

あんなに楽しそうに活動していたのに、 つまらない……ってどういうこと?
自分と他者、周囲の人の気持ちがどこまで理解できるかというのは、子どもの年齢、発達の段階によって違いがあり、小さい子は自己中心的。小学校4年生くらいにやっと第三者の存在を理解するようになるんです。
しかも、子どもはちょっとしたことで気持ちにゆれが出るもの。参加することをとても楽しみにしていたのに、途中で親に怒られ て、そのまま引きずってしまうこともありますしね。とくに小さな子どもは、いま、そのときの気持ちを最優先させてしまうんだな、と思っておくといいかもしれません

と鈴木先生。

たしかに、楽しそうに参加していのに、最後に「今日はおもしろくなかった」という子いたり……。そんなときは「すっごく楽しそうだったよ」と子どもに 伝えるそうのも 大切なポイントだと鈴木先生は いいます。



子どもは他者が自分をどう見てるかがわからないので、それを知るきっかけになります。『楽しそうだったから、またこんな葉っぱを見つけてね』という言葉けは印象に残るでしょうし、大事だと思います。
幸せホルモン〟オキシトシンと 気持ちのオウム返しがカギ

小学生低学年くらいまでの子どもは自分の気持ちが最優先。小学校中学年くらいになると斜に構える子、困らせる子はいるもの。これを前提として、さらにコミュニケーションをとりやすくするヒントは?



小学校年生くらいになると、下の年齢の子の面倒を見たいという気持ちが出てくるんです。そして、実際落ち着きのない子にその役割をさせると、幸せホルモンといわれるオキシトシンという物質が出て、安定するそうです。異年齢の活動の場合、小学校中学年くらいの子と4~5の子を組ませる方法も有効でしょう



そして、指導員の皆さんが常に心がけている〝受け身の姿勢〟にもポイントが。

たとえば子どもが黄色い花を見つけたと喜んでいるとき、子どもの言葉をオウム返しして共感を示すことがありますよね。
実はこのときの子どもたちの言葉は、3種類に分けられます。黄色い花を見つけたという『事実(できごと)』・お花を見つけて嬉しいという<『感情(気持ち)』・レモンより黄色いなどの『思考(考えたこと)』──。
オウム返しするとき、この3つのうちどれを返しているかを意識すると、子どもの〝わかってもらえた!〟という気持ちがより深くなります
年齢ごとの特性に合わせた「子どもと話すコツ」

年齢ごとの大まかな特性を知ると、子どもの理解が深まりなんでこういうことを言うの?」「なんでわかってもらえないのという戸惑いも少なくなります。



鈴木先生によると、小学校1~2年生くらいまでは、自分と他者の区別があまりついていないのだとか相手周りのことを考えて行動しましょう言って限界があるようです



それを念頭に置きながら、自分が!時期の子にはその子の気持ちを代弁してみましょう。そしてわたしとあなたという人の関係性を意識し始めるころの子には、指導員自身やほかの人の気持ち言葉にするとより伝わりやすくなるでしょう。

【3~4歳】この年代は〝ジコチュー〟が当たり前と心得よ。

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自己中心性が強く、他者の気持ちはわからない時期。自分が楽しかったら、ほかの人も楽しいと思っている。その子の気持ちを受け止める声けをしつつ、ほかの人にも目を向けることを促す声が有効。



たとえば、自分の拾った葉っぱが気に入っている子には「この葉っぱお気に入りなんだね」と受け止め、「●●ちゃんは違う葉っぱ見つけてるよね「●●くんはまだ葉っぱ探しているね」とほかの子の様子をそれとなく伝えてみる。まだわからない時期でも、伝えることは大切。



そして、親と離れることに不安を抱きやすい時期でもあるので、できれば親と一緒に参加することが望ましい。

【5~6歳】この年代は年長で一番上に立つ自覚が芽生える。

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それまでの自己中心的な意識から成長して、ほかの人のしていることわかるように。とはいえ、ほかの人の気持ちまではまだ想像及ばないたとえば「●●くんは、楽しんで」「●●ちゃんが嫌がっているよ」ほかの人の気持ち言葉にして教えてあげることが大切



そして、歳になると、保育園や幼稚園では年長として扱われるためその自覚も出てくる。離れたくはないけども、の指示を受けたくないと思いはじめる時期。親子で参加している場合は、「子どものやることは、そばで見守ってあげてくださいね」のよう、親関わり方を伝えてみて。

【小学1・2年生】ところが一転、最年少になって振り出しに戻る

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小学校に入り、それまで年長者だった立場今度は最年少に。そのため、少し幼くなる傾向があり、指導員細かく見守る必要がある場合も。一方で、少しずつほかの人の気持ちがわかるようになる



たとえば、自分はおもしろい、ほかの人はおもしろいと思ってないというような、違う考え方があることもわかるようにそれまでは、ほかの人の様子や気持ちを伝えることが必要だったが、自分で気づけるようになったので、人から「●●ちゃん」と言われると、うるさく感じる。その子がほかののことを気づいたときに、気づいたんだ、すごい!」伝えるほうが大切。

【小学3・4年生】子どものくせに、子ども扱いがイヤなギャングエイジ!

小学3~4年生はなんでも自分でやりたい時期親とは離れて、好きなようにやらせるのが望ましいなんでそんなことやるの?」「それおもしろいの?」などと、斜に構えた発言もするが、本当に興味を持ってのことなので、否定的にとらえず説明すると納得することも。



また、自分とほかの人という二者の関係から、第三者の存在を意識し始める年代自分と友だちが楽しそうにしているのを楽しそうだったねと言われるなどの経験を積み重ねて、まわりの人が見ているからきちんとしなくてはいけないまわりに迷惑をかけてはいけないという道徳的な気持ちが生まれてくる。

子どもの気持ちを受け止める「わかちあい」の心。

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ネイチャーゲームを通じて自分の 気持ちを話すことで、ほかの人もこんな気持ちかなと想像する力が育まれます

と鈴木先生。



そして、子ども自身が「こんな葉っぱを見つけてうれしかった」と言葉にすること、「見つけた!」「びっくりした!」とみんなとシェアすることによって、自分の喜びが表現できて、オキシトシンが放出されます。



「つまらない」というマイナス発言も「そっかぁ~、つまらないんだね。どんなところがつまらなね」としっかり受け止めると、本当は何がやりたいかを知るチャンスになるとも。



子どもの気持ちを先回りせずに受け身で待ち、わかちあう。ネイチャーゲームの基本に立ち戻ると、おのずと子どもとのコミュニケーションもうまくいくのかもしれません。


情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.35 特集(取材・文:茂木奈穂子 編集:藤田航平・豊国光菜子、校條真(風讃社))をウェブ用に再構成しました。
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