日本でネイチャーゲームが紹介されてから、2021年で35年が経ちました。米国のナチュラリスト、ジョセフ・コーネル氏が考案した『ネイチャーゲーム』(英名:Sharing Nature)は米国や日本にみならず世界20カ国以上で親しまれています。
その中でも日本は、全国規模の活動を展開しています。47都道府県に協会を設立し、世界で最もネイチャーゲームが普及している国になっています。ネイチャーゲームについては詳しくはこちらを。
そんなネイチャーゲームの中でも、定番のひとつが〈宝さがし〉。
リーダー(先生、保育者、指導者)が準備した「宝ものリスト」に書かれているものを自然の中から探してくる、簡単なのに楽しく、落ち葉や木の実、花などいま、そのフィールドにある自然と出会うことができる楽しい活動です。
2)参加者は、リストにある自然物を探す。持ってこれるものは拾ってくる。リーダーは生えているものを取らないなど状況に応じたルールを伝える。(10〜15分※状況によって時間は臨機応変に)
3)全員集合し、リーダーの進行により集めてきたものを見せ合う。
4)リーダーは、すべての自然物が森の中で役に立っていることなど、まとめの話をする。
リーダー側に特別な自然の知識がなくても、しっかり成立するネイチャーゲームなので、自信をもってトライしてみてください!
上記の「基本の手順」は、文字が読める小学生以上が年齢対象です。幼児と一緒に楽しむときはいくつかの工夫とコツを押さえれば同じ手順でも問題なくできます。
工夫とコツ1 リストの項目を少なく
「宝ものリスト」の項目は、大人を対象にしたプログラムでは9つ程度が一般的ですが、幼児が対象の場合は全員に文字を読ませることが難しくなります。そこで、幼児と楽しみたい場合には、親子行事などの機会をねらってみましょう。保護者とペアの活動にすることで、文字は保護者が読み、子どもに伝えてもらうことができます。
工夫とコツ2 文字にはひらがなとふりがなを
リストの項目数を5〜6個に減らしてみることで、ぐんとハードルが下がります。リストの文字はひらがなを中心に、漢字にはふりがなを振るようにしましょう。文字が読める子が進んで読めるような配慮があるといいです。
工夫とコツ3 親子で楽しむ!
見つけたものの数や早さを競う活動ではないので、親子でゆっくりと自然を楽しみながら探してほしいこと、見つからないものがあっても構わないことなどをリーダーからしっかり伝えましょう。子どもの「見つけたい!」を引き出し、「見つけたよ!」を一緒によろこぶことが大切です。
「幼児へのネイチャーゲームをやってみたいけど、うまくいくか不安・・」そんな方々に、乳幼児へのネイチャーゲームを多く実践しているベテラン指導員の実践事例から、参考になりそうな情報をピックアップしてみました!
聞いたのは、去田ゆかり(サリー)さん。ネイチャーゲーム歴はなんと25年!!東京の幼稚園勤務と仙台市の児童館勤務の経験から乳幼児親子へのふれあい事業を多く手掛けているサリーさん。
Q 〈宝さがし〉を幼児に実践したことありますか?
A はい、児童館に勤務していた時に、保護者から「子どもを外で遊ばせたいけどどうしたらいいかわからない」「公園を散歩したりするけど、ただ歩くだけでいいの?」など自然あそびに関する質問を多くもらいました。親子で自然に楽しく接するのに、この〈宝さがし〉がピッタリだと思って、親子行事のなかでやってみました。
Q 子どもたちや保護者の反応はどうでしたか?
Q 〈宝さがし〉をやる上でのポイントはありますか?
A 私は活動するフィールドをあらかじめ下見して、リストにどんな項目を入れるかを決めてからカードを作っています。リストの項目は、季節感があるものや、対象年齢に分かりやすいかを配慮します。あとは、五感を意識して、視覚以外にも嗅覚や触覚で見つけるもの(「いい匂い」や「ふわふわのもの」等)を入れられると体験がより豊かになります。
Q 〈宝さがし〉の活動の最後の「まとめ」はどんなふうにすればいいでしょう?
A 親子で見つけてきたものに優劣をつけないで、ひとりひとりの発見を褒めて、それをみんなで分かち合うことを意識するのがいいと思いますね。まとめの話では、「見つけてきた全てのものが、自然のなかでは大切ものなんだね」というふうに、幼児でもわかるような言葉がけで自然の大切さを伝えるようにしています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。幼児へのネイチャーゲーム、ぜひトライしてみてください!
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元・公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会 スタッフ
広報出版事業と教材開発の担当をしています。コロナ禍で主にテレワークな日々‥一人息子は小学5年生。釣りが好きすぎる超アウトドア少年だったのに、コロナ自粛で一気にゲームに詳しすぎるインドア派に転身。環境が人をつくるんだな‥って、実感しています。