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保育・幼児教育
人気のネイチャーゲーム〈大地の窓〉その遊び方と魅力〜小さな子どもと一緒に楽しむ方法〜
数あるネイチャーゲームでも、この〈大地の窓〉は“究極”かもしれない?!地面に横たわり、大地と一体になったかのような不思議な気持ちで、空を、森を、見上げます。
ネイチャーゲーム〈大地の窓〉とは?

米国発の野外活動「ネイチャーゲーム」は日本で考案されたものも含め170種類以上が認定されています。その中でも特に印象深い体験を得られるのがこの〈大地の窓〉。

地面に横たわり、体にすっぽりと落ち葉をかけて空を見上げる。
やがて自分は地面と一体になったかのような不思議な感覚になり、落ち葉の隙間から空を、森をみている時間は究極の自然体験と言えるかもしれない。


〈大地の窓〉のやり方(イベントや保育で行う場合)

(1)子どもたちを地面に仰向けにさせて、しばらく空や森を眺めてもらいます。

(2)自分が地面の一部になったつもりで空や森を眺めるように言葉をかけます。

(3)ひとりひとりの身体に落ち葉や枯れ葉をかけていきます。(人数が多い場合は子供同士のペアにしてもいい)

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(4)体がすっぽりと隠れたら、顔の周りにもパッチワークのように葉っぱを乗せていきます。(できるだけ目だけが出ている状態にします)


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(5)しばらく何も会話せずに、地面の一部になったつもりで空を見上げます。(リーダーは葉っぱに埋もれずに、子どもったちの近くで静かに座ったり、仰向けになって待ちます)

(6)集合の合図で全員がゆっくりと起き上がり、気づいたことや感じたことをシェアします。



考案者、ジョセフ・コーネルの著書から 〈大地の窓〉を紐解く

ネイチャーゲームの創始者であるジョセフ・コーネルは40年以上前に米国でネイチャーゲーム(米国ではSharing Natureと呼ばれている)を発表しました。
以降は世界的なナチュラリストとして現在も活躍をしています。

コーネルの初めての著書『Sharing Nature with Children』(和訳本『ネイチャーゲーム1』)では、この〈大地の窓〉が一番最初に紹介されています。
その本の中から、コーネルのエッセンスを紐解いてみましょう。

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森はまったく新しい角度から見てみると、とても新鮮で面白いものになります。静かに森の地面にねころんで、木々のざわめき、小鳥のさえずり、サァっと吹く風の音に耳を傾け、目を凝らしてみましょう。木の葉の隙間から雲が音もなく森の部屋へと忍び込んできます。静かに隠れてさえいれば、動物たちもすぐ近くまでやってくるかもしれません。(中略)私の経験では、驚いたことに20分くらいはこうしてじっとしていることができるようです。(中略)この〈大地の窓〉は、自分が森の一部になってそこから森を見るという不思議な体験をさせてくれるのです。


コーネルはこのように、「視点を変えて森を見ること」で自然が新鮮に見えると説いています。そして、大地と一体になっている間は、完全に「受け身」で自分は何も発せずに、ただそこに居て自然の変化を受信する。その状態が子どもであっても20分続くということは、子どもたちは完全に落ち着いた状態にあるといえます。
これが〈大地の窓〉のあるべき姿のようです。


自分の子どもと楽しむ〈大地の窓〉

筆者は息子が幼い頃から、度々この〈大地の窓〉を体験させています。一番最初は0歳でした。

森の地面に寝かせて体の上に葉っぱをかけます。
赤ちゃんなのでどうしても動いてしまい上半身は葉っぱがなくなってしまいます。
息子はじっと睨むように森を見上げていました。
20分くらいはこの状態で大丈夫だったと記憶しています。

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時にはベビーカーの中に落ち葉をたくさん敷き詰めて、身体にもすっぽり葉っぱをかけて「動く大地の窓!」なんて言いながら散歩をしたりもしていました。葉っぱのチクチクを少し嫌がったりしながらも、しばらくはそのまま母のわがままに付き合ってくれていました。昔の日記を見ると、チクチクを気にしながらもそのまま寝てしまうパターンだったようです。

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小学生になると、時おり息子の方から「葉っぱのお布団やろうよ」と誘ってくれるようになりました。
いつもの公園に枯葉が積まれていると、そこで二人でお互いに葉っぱをかけあって楽しみました。息子はやっぱりそのまま寝てしまうパターンで(笑)
パーカーをかぶった状態で〈大地の窓〉をやると、体や顔に葉っぱが触らないので落ち着いていられます。

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息子も高学年になり、しっかり今どき小学生となりました。ネイチャーゲームよりもデジタルゲーム、母よりも友だちと遊ぶのが好きなお年頃。
最近は思春期や反抗期の兆しもチラホラ・・・
小さい頃のこの尊い自然体験はどこに行ってしまったのだ!と思うこともしばしばです。自然体験の効果はすぐには現れない・・そう信じて、少し尖ってきた息子を見ながら

小さい頃にできるだけの自然体験をしてきたのだから、それでよし!

と思っています。


子どもが小さいうちの自然体験はとても大事だと言われています。親や保育者、子どもに関わる大人たちが日常の中で少し自然体験を意識してみれば、もしかしたら葉っぱ一枚からでも子どもと自然を出会わせることができるのかもしれません。



【素敵な体験だけど、守りたい注意事項があります!!】

・ツツガムシのいる地域では〈大地の窓〉の実施は避けましょう(保健所や地元の人などに確認をしてください)
・ダニが心配な地域ではマダニから身を守るためには、シャツの裾をズボンの中に入れたり、肌の露出を減らすことが大切。また虫よけも有効です(※用途と使用できる年齢を確認してください。本人または保護者自身に使用していただきましょう)。入浴のときなどにマダニが付いていないか全身を確認しましょう(安全対策トピックス「マダニと感染症」より)

インフォメーション
▶ネイチャーゲームショップにダニに刺された場合のファーストエイドグッズがあります。興味のある方はこちらをご覧ください。
https://www.naturegame.or.jp/shop/products/detail/155

▶ジョセフ・コーネルの著書から〈大地の窓〉を調べたい方はこちらをご欄ください。
https://www.naturegame.or.jp/shop/products/detail/5




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●ネイチャーゲームを体験したい方は
 全国で開催しているイベントに参加する

●ネイチャーゲームの講師を呼びたい方は
 講師依頼をして自分のイベントで実施する



佐々木香織 ささき かおり
元・公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会 スタッフ

広報出版事業と教材開発の担当をしています。コロナ禍で主にテレワークな日々‥一人息子は小学5年生。釣りが好きすぎる超アウトドア少年だったのに、コロナ自粛で一気にゲームに詳しすぎるインドア派に転身。環境が人をつくるんだな‥って、実感しています。
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