日置光久(ひおき・みつひさ)・監修
東京大学大学院教育学研究科特任教授。広島大学大学院にて理科教育学、自然体験・メディア論、科学哲学等を学ぶ。広島女子大学助教授、文部科学省教科調査官・視学官等を経て、現職となる。日本シェアリングネイチャー協会理事。
樹木と共生する「菌根菌」の代表選手が高級食材のマツタケ。
それを「秋の味覚」と食べる人間は「寄生」なり?
菌というと、0─157や結核菌などを連想し、「怖い」「汚い」という印象を持つ人も多いかもしれません。しかし、乳酸菌や酵母菌など、すでに人が活用している菌をはじめ、地球上には多様な菌が存在し、さまざまな役割を担っています。
無機物から有機物をつくれる植物は、大地に根をはり、独自に存在しているように見えます。ところが植物のなかには、リン酸やチッソなどの大切な栄養を「菌根菌(きんこんきん)」という根に共生する菌から得ているものがあります。菌根菌とは、土壌中の菌が植物の根に着生し、周囲から栄養分を吸収して宿主の植物に提供、代わりに植物が光合成をしてつくったエネルギーを得て、自身が成長するという共生関係を築くもの。森林の地面に生えるキノコの多くが「菌根菌」といわれます。その代表が、主にアカマツと共生関係を築く、あのマツタケです。
この〝菌〟との共生は、植物に留まらず人間の腸内にも500兆個以上の腸内細菌がいて、消化・吸収の一部を担っているといわれます。
そして菌ではありませんが、最近聞かれなくなった、「便から寄生虫のサナダムシが出た」という話。じつは、サナダムシの駆除が人の免疫機構を狂わせアレルギーが増えたという説を解く人が...。もしかしたら人とサナダムシは絶妙な共生関係を保っていた...なんてことは、ないか。
掃除をして人に害のある最近の増殖を防ぐことは大切。ただしやり過ぎは、常在菌も殺して自然のバランスを崩すことになるかも。
グループでひとつの生息環境を演じ、その環境や生物同士のつながりを体感するネイチャーゲーム。人間の体内にある菌の世界を体感しよう。
■役割を割り当てます。・乳酸菌役4名以上・善玉菌役2名以上・悪玉菌役2名以上
■地面にロープを敷き、腸の範囲を決めます。
【演じ方】
?善玉菌役と悪玉菌役はロープの内側に入り、元気に動き回る。
?乳酸菌役全員は、ロープの内側に入ろうとするが、ロープの手前で2人はうずくまり、2人はロープ内に入る。
?乳酸菌役1名は善玉菌役を盛り上げるような動きをする。もう1名の乳酸菌役は悪玉菌を退治しようとする動きをする
?乳酸菌役に退治されロープの外側に出た悪玉菌役は、ロープの外側でうずくまっていた乳酸菌役に抱えられ、遠くに連れ去られる。
?ロープの内側の善玉菌役はますます元気に動き回る。
?演じた体験をシェアする
※情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.15 特集(編集:佐々木香織、水信亜衣)をウェブ用に再構成しました。
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