竹村氏のネイチャーゲームに対する思いを中心にご紹介します。
【ナチュラリスト】
ジョセフ・コーネルさん
米国生まれ。野外活動インストラクターを経て、1979年に「Sharing Nature with Children」を発表。以後、ナチュラリストとして世界を舞台に活動。当協会名誉会長。
【文化人類学者】
竹村真一さん
京都造形芸術大学教授。Earth Literacy Program代表。地球時代の新たな「人間学」を提起し、世界初のデジタル地球儀『触れる地球』など、地球環境問題への取組みを行う。
――ITの最先端技術も用いて地球環境問題に取り組む、京都造形芸術大学教授であり文化人類学者の竹村真一氏と、ネイチャーゲーム創始者であるナチュラリストのジョセフ・コーネル氏、ちょっと異質な感じがするこの対談。
発端は、竹村氏がその著書『宇宙樹』のなかで、ネイチャーゲームの代表的なアクティビティ〈わたしの木〉を取り上げてくださったことから始まりました。〈わたしの木〉の概念は、パートナー・ツリーであり、それがすばらしいのだと。
――ネイチャーゲームで提唱している五感を使う活動。しかし現代の日本人は五感を使うどころか、視覚だけの「一感人間」になっているという竹村氏。最近では「電話」という声の文化も捨てメールばかりで「モジモジ(文字文字)」している...と、通訳泣かせのギャグを一発。
木だけじゃありません。じつは僕らの体では、細胞が1日に2千億から3千億、新しく生まれては死んでいます。ですから、「お変わりありませんか?」と挨拶されても、変わりまくっているわけです(笑)...それでも、同じ〝私〟でいる、これがまたすごいことです。いってみれば、僕らは毎日、新品になっているわけです。まさしく、我われ自身がすごい自然なんですよね。都会ではなかなか自然に触れられないといいますけど、自分自身がとんでもない自然なんだ!という感覚を持っていると、鉢植えの木もいきいきと見えてくる。森に行くことも大事なんだけど、自分自身にもう一回驚き直す...ここから、自然にもっと気づくようになる。その両方が大切だと思うんです。
――この「ノミの体験」ができるのが、じつは竹村氏が企画・開発した、ほぼリアルタイムで〝地球の体調を見える化〟した『触れる地球』。対談を前にコーネル氏も体験し、二人は意気投合。ちょっと異質な二人の〝同源〟が実証されたような時間を過ごしました。
――コーネル氏がよく語る話に、「自分の絵」を自然の一部として小さく描くアメリカ先住民族の子どもの話があります。これらを受けて竹村氏は...。
――「人工自然は決して悪い意味ではないのでは?」という竹村氏。火山性の急峻な地形のために、本来は山に降った雨があっというまに海に流れてしまい、洪水と渇水を繰り返していた日本。それを〝水の豊かな国〟にしたのは〝人の営み〟だといいます。川をつけかえ、保水力のある水田をつくり...。そうしてできたゆっくり水が流れる環境のなかで、多くの魚や昆虫が卵をふ化でき、日本は生物多様性豊かな国になったのだと。日本人は「地球を、自然をコーディネートして、高次の生物多様性をつくってきた」というのです。
――We are Challenger !...そんなお二人の意気込みを感じた、ワクワクがとまらない2時間でした。
まったく異なるフィールドで活躍されるおふたり。でも思いは同じ。
※情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.15 特集(デザイン:花平和子 編集:伊東久枝、佐々木香織、水信亜衣)をウェブ用に再構成しました。
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