では〝大地の循環〟は、どうでしょう。
日置光久(ひおき・みつひさ)・監修
東京大学大学院教育学研究科特任教授。広島大学大学院にて理科教育学、自然体験・メディア論、科学哲学等を学ぶ。広島女子大学助教授、文部科学省教科調査官・視学官等を経て、現職となる。日本シェアリングネイチャー協会理事。
海岸や河原の石や砂を拡大鏡で見たことがあるでしょうか。白や灰色に見えていた石や砂が、拡大すると多様な色の集合体であることがわかります。それは多くの場合、海岸や川に続く山の一部です。土地の成り立ちにより、元になる岩石などが異なるため石や砂の色は多種多様。そこには大地の歴史が内包されています。
では小石や砂は山となる前、どんな歴史を歩んで来たのでしょう。日本は、4枚の「プレート」がせめぎ合うという世界でも稀な地盤の上にあり、そのため地震・土砂崩れ・津波などの大きな災害に襲われることも少なくありません。
プレートは日本の下で少しずつ地球の内側へ向かって沈み込み、その反動で地震が発生し、大地が隆起します。その沈み込んだプレートの影響で地下の岩石が溶かされ、マグマが形成されて火山噴火が起きる。そうして生まれた急峻な山が雨を呼び、雨が大地をえぐって石をつくり、栄養分の多い土砂を海へと運ぶ...。
これら大地の躍動は、たびたび私たちに堪え難い悲しみを与えます。しかしこの動きによって、地球内部に蓄えられた養分は地表に流出し、水の力で森や平地に行き渡り、緑豊かな山を、豊潤な耕作地をつくってきました。また、砂のなかにはサンゴ礁などでみられるように、生物に由来するものもあります。石や砂は、そんな〝循環〟の語り部なのです。
川原や森で見つけた石が、遥か昔からこの地球を旅している...そう思うと、小さな「石ころ」に畏敬の念が湧いてきます。石を使ったネイチャーゲームで、内なる地球に思いを馳せてみませんか。
【楽しみ方】
①魚・ハート・星形など、分かりやすい図形を描いた大きめの台紙を用意します。
②川原など石の多い場所に行き、気に入った石を集めてきます。
③集めた石をパズルのピースに見立て、台紙に書かれた図形の上に、できるだけ隙間ができないように置いていきます。
④図形が石で埋まったら、完成!
※情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.12 特集(デザイン:花平和子 編集:伊東久枝、佐々木香織、水信亜衣)をウェブ用に再構成しました。
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