日置光久(ひおき・みつひさ)・監修
東京大学大学院教育学研究科特任教授。広島大学大学院にて理科教育学、自然体験・メディア論、科学哲学等を学ぶ。広島女子大学助教授、文部科学省教科調査官・視学官等を経て、現職となる。日本シェアリングネイチャー協会理事。
海外から人の手を介して持ち込まれた植物のうち、野外で勝手に生育するようになった植物を帰化植物といいます。日本ではすでに1200種ともいわれ、なかにはその繁殖力の強さから目の敵にされているものもあります。
ところがいったん海外に目を転じれば、日本の植物も外来種。帰化植物として冷たい視線を浴びているのです。その筆頭がイタドリ。
日本では「スカンポ」とも呼ばれ、道端などでよく見られ、子どもたちの遊び道具に、山菜として、広く親しまれてきた植物です。溶岩などの荒れ地に最初に芽吹く植物としても知られ、養分もない大地に根をはり数年かけて葉を繁らせ、そこに小さな土壌をつくり、さまざまな植物が育つ場を与える大切な植物のひとつです。その、日本では美談ともいえる生命力が、イギリスでは仇となり、空き地を制覇し、道路のアスファルトを崩すと非難轟々。とうとうイギリス政府は、天敵のイタドリマダラキジラミの輸入を決めたほど。
帰化植物というとなんだかその植物自体が悪いように思いがちですが、生態系のなかでバランスを保ち、その役割を担っている場合は、生きものは決して悪者ではありません。人の手が入り、1種だけが移動したとき、生きものはただ同じ営みをしていても悪者レッテルをはられてしまうのです。
ある土地の土壌や光、水分などの条件が変わることによって、植物の種類や量が移り変わることを「植物遷移(せんい)」といいます。自然の状態では何十年何百年かけて、少しずつ変化する植物遷移(せんい)を、わずかな時間で体験してみましょう。
①池・沼などの水辺から30?50mほど離れた草むらや森のなかで、頭を水辺に向けて四つん這いになります。
②顔を地面から30㎝以下の高さに保ち、植物の変化を感じながら水辺まで一直線にはって行きます。
③水辺に着いたら、植物の変化のようすや感じたことを、他の人たちと話し合いましょう。
※情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.13 特集(デザイン:花平和子 編集:伊東久枝、佐々木香織、水信亜衣 イラスト:井上みさお)をウェブ用に再構成しました。
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