「林」とは、人の手が入ったもの。「生やす」が転じた言葉なのだそう!これに対して「森」は、人の手が入っていない場所。「盛り」から転じたとか。日本古来の言葉で「もり」とは「盛り上がったところ」を示すのだそうだ。なるほど〜。
豊かな自然と避けられない自然災害の狭間で生まれた、日本古来の自然信仰。古代神道で、遠くからでも崇めることのできる「小高い場所=もり」は、神の依代(よりしろ)とされた。なかでもさまざまな生きものが棲み、食料や木材など多くの恵みを生み出す「もり=森」は神の領域とされたのだろう。
そもそも、光エネルギーを使って無機物(水と二酸化炭素)から有機物(デンプンや糖)をつくるという神業?!ができるのは植物だけ。しかも小さな葉1枚1枚で!先進技術を日々開発し続ける人類をしても未だ、人工的に光合成を行い有機物をつくることはできない。ゆえに草食動物は植物を食べ、肉食動物は植物を食べた草食動物を食べて命を繋いでいる。食物連鎖とは、植物のつくる「デンプンや糖」獲得の営みなのだ!え、え?、そんな見方が...。
さらに、植物は酸素や薬用成分を生成するなど、功績は計り知れない。「森」はまさしくそれらの集合体。古人が崇めた「もり」の意味を、もう一度心せねば!...というのが、今回の日置講座でした。
「生態系ピラミッド」を自分たちでつくり、疑似的な体験を通して、自然界のバランスと食物連鎖による「生体濃縮」について学ぶネイチャーゲームです。
【準備】
・生きものの名前が書かれたカード(人数分)
*「植物6:草食動物3:肉食動物1」の割合を参考につくります。
・バンダナ(植物役の人数分)
【楽しみ方】
①参加者に生きものの名前が書かれたカードを1枚ずつ配る。
②「植物」カードを持っている人(植物役)は、地面に手と膝をついて「土台」をつくる。
③「草食動物」役は植物役の後ろに立ち、両手を植物役の背中に置く。
④「肉食動物」役は「草食動物」役の後ろに立ち、両手を草食動物役の肩に置き、簡易的なピラミッドをつくる。
⑤リーダーの合図に合わせて、草食動物役と肉食動物役は手に力をかけて、互いに影響しあっていることを体感する。
⑥リーダーの合図に合わせて、植物役の一部が手を折り曲げて減少したことを表現する。こうして生態系のバランスが崩れることを全員で体験する。
⑦植物役全員にバンダナ(毒)を渡す。「草食動物が植物を食べた」と仮定し、植物役が持っているバンダナをすべて草食動物役に渡す。次に、「肉食動物が草食動物を食べた」と仮定し、草食動物役が持っているバンダナをすべて肉食動物役に渡す。
⑧ピラミッドを解体し、肉食動物役に溜まったバンダナ(毒)を全員で確認し、有害物質は食物連鎖を通して濃縮し、高次捕食者の体内に溜まってしまうことを説明する。
※情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.22 特集(編集:佐々木香織、山田久美子」 イラスト:井上みさお)をウェブ用に再構成しました。
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