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木と対話するネイチャーゲーム(その2) 〈木の鼓動〉あそび方と魅力〜聴診器1本あれば、どこでもできる〜
聴診器を木の幹にあてて、聞こえてくる音に耳を澄ませるネイチャーゲーム。木の中で起きていることや、木とその周りのものとの関係に思いを馳せます。
〈木の鼓動〉の楽しみ方

まずは「聴診器」を準備しましょう。

「聴診器」が準備できたら、

(1) 幹の直径が15cm以上で樹皮が薄い木を探します。

(2) 聴診器の集音部を静か幹に押し当てます。

(3) 聞こえてくる音に耳を済ませます。

(4) 違う位置や他の木など、よく聞こえる場所を見つけて聞いてみましょう。


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やり方のコツをおさえよう!

いくつかのコツを知っておくと〈木の鼓動〉がもっと楽しくなります。
「ぜんぜん聞こえなかった・・」にならないようにコツをおさえて、いろいろな木の音を聞いてみよう!

やり方のコツ1.
聴診器の集音部はとてもデリケートです。叩いたりせずに優しく扱いましょう。ネイチャーゲームショップでも取り扱いがあります。


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やり方のコツ2.
幹に集音部を押し当てたら、左右に動かさずに音に集中しましょう。
動かすと「ガサッガサッ」と大きな雑音が入って聞こえづらくなります。
集中して音を聞いても聞こえない場合は、同じ木の違う部分を聞いてみましょう。
上の方と根本では聞こえ方が違う場合があります。

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やり方のコツ3.

経験的には樹皮が薄い木の方が聞こえやすいですが、樹皮が厚くても聞こえることがあります。
直径が15cmよりも小さい木でも聞こえることがありますが、聴診器の集音部のほとんどが樹皮にくっついている方が聞こえやすいです。
いろいろな木にチャレンジしてみましょう。


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意外すぎる“音”にびっくり!! はじめての〈木の鼓動〉体験記から 

筆者が初めて〈木の鼓動〉を体験したのは、20年以上も前に受講したネイチャーゲームリーダー養成講座でした。

講師から渡された聴診器を持っておそるおそる幹にあててみると…
まず聴診器と木肌が擦れる「ガサガサッ」という雑音のような大きな音が耳に入ってきました。

講師から説明があった通り、聴診器をギュッと木肌に押さえつけたら、シーンとした静寂が一瞬か二瞬……そのまま音に集中して耳を澄ませてみた……すると、思いがけず、こんな音が!!!


ボコボコ……ボコッ…ボコッ……


この音にすごく驚いた!!
えっ?ボコボコ?こんな音なんだ?!と…。
想像していたのは「サーーサーー」というような音だったから、あまりの意外性に思わず笑ってしまい、すぐ隣にいた同じグループのメンバーに、

すごい音が聞こえたよ

と言ったことをよく覚えています。

メンバーに聴診器を渡し聞こえたあたりを教えると、そのメンバーにも、もうひとりのメンバーにもしっかり聞こえて、その後3人で他の木の音も聞こうと森を歩き回りました。
他の木では

ザーーー

という音や、その音の中にときどき

コツッ、コツッ

と突くような音が聞こえたりして…そうなるとやっぱり、この音って一体なんなの?、と不思議に思い始めてしまいます。

メンバー同士で、どう考えても水の音じゃないよね?、なんて言いながら、集合の合図で講師の前に集まりました。
木から聞こえてくる音がさまざまであることがとても不思議で、ぐっと興味を惹かれました。

「??」な顔をした私たちに、講師は微笑みながら

木の鼓動の正体はなんだと思いますか?

と聞きました。きっと皆は「さっぱり分かりません」という顔をしていたのだと思います(笑)
そこで、こんなことを話してくれました。(後から調べた情報も交えて書きます)


木から聞こえてくる音の正体について、よく「木が水を吸い上げるときの音」という説がありますが、実際には木が水を吸い上げる速度は、早いもので50cm/h、ツル性のものでも2cm/hという極めてゆっくりしたものであり、この音が聞こえる可能性はほとんどないといわれています。

この活動で実際に聞こえる音は、地下水の音や風で木の葉が揺れる音、地面からの振動などが入り混じったもので、じつは音源を特定することはできないのです。 

「音の正体は何だろう?」と思いを巡らすことも、ごく自然なことだと思います。
でも、科学的にはまだ解明されていない、そういう音です。

講師は続けました。

でも、皆さんは木の音を聞いてみて、どんな風に思いましたか?


そこで、各自は考えました。
誰かが

木はただそこに立っているのではないんだなぁ…と、周りの環境の影響を受けながら存在している・・と気づきました

と発言しました。皆は、大きくその意見に同意してうなずいていました。私も一緒にうなずいていました。

他の受講者は

聴診器で聞いている間、その時間は、なんとなくその木と自分がつながっているような不思議な感覚になりました

この意見にもうなずいている人がたくさんいました。

講師は、

皆さんが感じたその通り、このネイチャーゲームの目的は“木への感情移入”と“木へ関心を持つこと”です

と言いました。

私は少し鳥肌がたち、ネイチャーゲームでは、こんな風に自然に対してアプローチするんだ…科学的に分かっていることをただ伝える活動ではなく、「個人の感情」や「個人が導いた想像(気づき)」みたいな部分で、目の前にある自然と関わろうとするんだ…と、ネイチャーゲームという活動の真髄に触れたような妙な感動を味わいました。

それ以降、私は聴診器を自然へのお出掛けや旅行に持ち歩くようになりました。
巨木に出会ったり、気に入った木があったらすかさず〈木の鼓動〉をやってしまいます。



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『シェアリングネイチャーライフvol.35』(2022年12月発行)より抜粋




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佐々木香織 ささき かおり
元・公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会 スタッフ

広報出版事業と教材開発の担当をしています。コロナ禍で主にテレワークな日々‥一人息子は小学5年生。釣りが好きすぎる超アウトドア少年だったのに、コロナ自粛で一気にゲームに詳しすぎるインドア派に転身。環境が人をつくるんだな‥って、実感しています。
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