目かくしをして一本の木と触れ合って、視覚以外の感覚をつかいその木を想像してみる、 そして目かくしを取り、あらためてその木に会いに行った時、その木はただの「木」ではなく「特別な一本の木」に変わる。
「木」をテーマとしたネイチャーゲームのなかでも、代表的な活動で、〈わたしの木〉での体験の記憶を大切にしている仲間がいっぱいいる、象徴的なネイチャーゲームです。 ネイチャーゲーム指導員はほぼみんな、思い出の場所に「わたしの木」があります(これを書いている私の木は、伐採されてしまいましたが・・・)。
〈わたしの木〉は創始者のジョセフ・コーネルが考案したネイチャーゲームで、もともとのタイトルは「Meet a tree」、1本の木と深いつながりをもつことを大切にしていることがタイトルからもわかりますね。
20年近く前、環境学習のイベントで、〈わたしの木〉を体験した男性が、
と話をしてくれました。
私が、その木を選んだことに深い理由はありませんでした。
下見をして、候補にしていた2本の木から、直前に、お会いして少し言葉を交わした中で「こっちの木」にしようと決めただけです。
もちろん彼の心の奥にある記憶を知っているわけもなく、それを呼び起こそうとしたわけでもありません。 言ってみれば偶然の引合せに私が立ち会っただけですが、もしかしたら男性とこの木はいつか出会うときが来ると決まっていたのではないか、そんなロマンティックなことも感じたり。
と嬉しそうに話してくださったのが印象的でした。
私の木は先日、切り株さえも確認できなくなりましたが、男性とその木とが、今もお互いに元気で、友情が続いていますようにと願っています。
わたしの木を家族や友人と楽しむときは、こんな流れでやってみてください。
(1)パートナーに紹介したい木を選ぶ
(2)紹介したい木があることを伝える
(3)バンダナなどで目かくしをしたパートナーをその木のところに連れていく
(4)触覚・嗅覚・聴覚を使うように、その木を紹介する
(5)十分のその木を感じてもらったら、目かくしたままもとの場所に戻る
(6)目かくしをとって、その木を探しに行ってもらう
(7)再開できたら、もう一度触ったり匂いをかいだりする
(8)感じたことをシェアする
大切なことは「木当てゲームではない」ということです。
例えば
・目かくしをした後にぐるぐる回す
・後で当ててもらうからよく覚えてね!と声をかける
・当たったらすぐにおしまいにする
といったことはしないようにしましょう。
もちろん木当てゲームはそれはそれで楽しい活動です。
でも、〈わたしの木〉では、パートナーがその木を深いつながりを感じられるように、雰囲気づくりから大切にしてみてください。
・木を選ぶときは、この場所で出会ってもらいたい心に残る木を選びましょう
・必要以上の言葉だけは、ときにわずわらしさを与えてしまうので気をつけましょう
・目かくしをしたパートナーを案内する際はゆっくり丁寧に誘導し、怖い思いをしたり、危険な状態にならないよう注意してください。
・ウルシなどのかぶれやすい木を選ばないようにしましょう。
公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会
事務局次長・マーケティング部
学生時代からネイチャーゲーム自然学校・自然教室に関わり、あれよあれよという間にネイチャーゲーム漬けの日々(つまり仕事)。仲間に「自然との一体感を感じたネイチャーゲームは?」って聞くと、このアクティビティの話が出てくることがよくあります。私もそう。今回紹介した男性のときと同じように、私自身も幼かった頃の日々が五感を伴って強く呼び起こされました。そこから私の人生は変わったんだと思います。自然ってすごい。