イラストレーター/鳥の小物作家
piro piro piccolo(ぴろぴろぴっころ)さん
多摩美術大学卒業。イラストレーター。大学卒業と同時期に野鳥観察を始め、野鳥をテーマにイラストや小物を制作。自然の中でただひたすらに生きている野鳥の姿を多くの人に伝えることを目標に、かわいらしく親しみやすいイラストを心掛けている。
ウェブサイト https://iirotorii.tumblr.com
山に行く目的は野鳥に会いに行くため、というほど鳥を愛する piccoloさん。鳥の魅力はどんなところにあるのでしょう。
あとは、重なる部分もありますが、海を渡って違う国に行ける自由さも魅力です。私の知らない美しいものを見たり、いろいろな場所に行ったりしたのだろうな、と思うとうらやましいです。
そして、鳥はあらゆる環境にいます。それは鳥を観察する点で、どこに行っても楽しめるということ。種類は違っても、鳥は海にも山にも地球上のどこにでもいます。普通の生活で、ほかの哺乳類を見ることは多くありませんよね。身近な生きものであること思います
本格的にバードウォッチングを始めて10年。鳥愛が深まるきっかけとなったのは高山で出会ったイワヒバリの〝自由な姿〟でした。
山々で見た鳥が、実は秋になると身近な公園に下りてきて、それを探すのも楽しいとpiccoloさん。
大武さんが続けます。
遠い山で羽ばたいている鳥が、いつも散歩している公園や、何気なく見上げた空にもいるなんて、わくわくしてきます!鳥が身近な自然と遠くの大自然をつなげてくれる存在なんですね。
『なつのやまのとり』には野鳥の生態、健気で一生懸命な求愛、子育ての姿も描かれています。そこにはpiccoloさんがイメージするその鳥の〝っぽさ〟も加わり、より親しみが湧いてきます。
でも、隠していた場所を忘れてしまうこともあって、その実がやがてハイマツの木になる。森が広がっていく手助けをしてるんです!ホシガラスはそんなことを意図しているわけもなく、ただ自然の中で生きてるだけ。実は先祖が作った森で、その子孫たちが暮らしているんですよ。おもしろいですよね
鳥の生態をより深く知ることが、いままで見えていなかった自然のおもしろさに気づくきっかけになるのですね。
鳥の求愛の様子については
とpiccoloさん。
また
とも。
鳥をよく観察すると、私たちにはわからない不思議な暮らしがあることにも気づかされます。でも、鳥たちは、ただひたすらに生きているだけなんですね。
カラスは人が無造作に出しているゴミを、餌だと思って漁っているのであって、人間がゴミをしっかりカバーして工夫をすればいいこと。一生懸命、生きているだけなのに、人のせいで嫌われているように思います。
カラスは枝をくわえてプラプラさせたり、歩いて「カー」、歩いて「カー」と楽しそうに遊んでいるような姿を見せてくれることもあり、余裕があるなと感じます。また、一度パートナーを決めると、生涯添い遂げる律儀な鳥なんです。離婚する鳥もいるんですけどね。
群れにいるのはまだパートナーが見つかっていない若いカラス。2羽でいたら夫婦だなってわかります。いつも見かける場所があれば、縄張りなんだな、なんて。そんなふうにカラスを見ると楽しいですよ
鳥を観察しようとすると、目で探すだけでなく、鳴き声に耳を傾けるようになるんです。何の鳥かわからなくても、きれいな声だな、かわいいなと感じるだけで癒されます。
そして、鳥を意識するようになると、身近な鳥に気づくようになり、さらに周りの自然へと思いを馳せられるようになり、ときにはワールドワイドにもなり、私たちの見えていた風景が変わっていきます
こうした変化は
と大武さん。
ふと見える鳥の姿、雑踏の中で聞こえる鳥のさえずり......、身近な鳥のおかげで、都会にいても、家の窓を開けた瞬間の景色、屋根の上、遠くの空、そして木々のざわめきなど、いままで気に留めなかった風景に目を向け、音に耳を傾けるようになっていきそうです。
とpiccoloさん。
身近な鳥をきっかけに、鳥と私たちが生きている自然に思いを馳せること。それは、自然へのまなざしが変わること。鳥とともに暮らせる世界を守りたくて、できることをしたいと思ったとき、私たちの見える〝風景〟はもちろん、価値観や生き方も変わっていくのではないでしょうか。
piccoloさんがイワヒバリと出会って、さまざまな自然へと思いが広がるきっかけをもらったように、あなたの〝風景〟を広げてくれる鳥との出会いが、すぐ近くで待っているかもしれませんね。
※情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.37 特集(取材・文:茂木奈穂子 編集:藤田航平・豊国光菜子、校條真(風讃社))をウェブ用に再構成しました。
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