自然学校での最終日前日の夕方、ここまでの時間をふりかえり、子どもたちに一枚の白紙を配りました。
そして続けます。
子どもたちからこんな質問がありました。
・こないだ木にロープかけて作ったブランコ、描いていい?
やった。
よっしゃ。
あれ書こうよ。
いいね。いいね。
さっそく描きはじめる子、何を書こうか書き出したいってメモ用紙を取ってくる子、周りの子と相談をはじめる子・・・それぞれのリズム、それぞれのやり方でデザインしてくました。
完成したら近くの友だちと紹介しあいっこ。
「それいいな!ひらめいちゃった!」なんて、新しいアイデアもらって、 書き足しちゃってOKのルール付で、わいわいとシェアしてもらいました。
全員の「森の設計図」を紹介しあう時間がなかったので、廊下の壁に渡したロープに洗濯バサミで止めてもらって、みんなが全員の地図を見られるようにして解散の直前まで飾っておきました。
(そして庭に出てフェアウェルパーティー、スタートです!)
〈森の設計図〉は、このようにまとめの活動として行われることが多いネイチャーゲームです。
自然遊びの中で感じた楽しさや、よろこびは、そのフィールドである森や自然があってこそのものです。
未来の森を設計すること、それ自体とても楽しくて魅力的なことですが、プログラムのまとめとして行うことで、体験をより深いものへと深化させられます。
・うれしかったこと、楽しかったことをより多くの人に体験してもらいたい
・自然教室に来る後輩たちにもその喜びを感じてもらいたい
・自然学校がずっと続いてほしい
・また遊びにきたいから、ずっと残っていてほしい!
そうした「森に託したい願い」が込められた、理想の森が描かれることと思います。
たとえば、ネイチャーゲームの創始者のジョセフ・コーネルは、「子どもたちに想像上の土地の権利」を渡す、というワクワクする導入をして、活動をはじめていきます。
進め方はこんな感じです。
〈森の設計図〉
(1)森での体験を思い出したり、お話したりする
(2)理想の森を考える
(3)その森があるために必要なものを考える
(4)森の設計図をデザインする
(5)シェアする
大切なことは、子どもたちの想像力にまかせること、描きたいように描かせてあげることです。
理想の森に「答え」はありません、「すべて正解」と言ったほうが正しいかもしれません。
子どもたちの創造力が存分に発揮されるように、言葉がけしてみてください。
またこの森がずっと続くためには、他に必要なものがないかと考えてもらうのも良いですね。
特に高学年の子どもたちや、大人に描いてもらう際には、生きものの食う食われるの関係や、土壌や気候条件なども合わせて考えてもらうと、アイデアがより深まると思います。
ネイチャーゲーム指導員でもある「きこりのタジー」の言葉です。
身近な自然といえば、公園や里山といった、人のかかわりが強い自然環境をイメージする人も多いかと思います。
そうでない深い自然であっても、人の影響はゼロといえる場所は、もうほとんど残っていないかもしれません。
子どもたちが描く「森の設計図」には、子どもたち自身や、子どもたちの遊び場が描かれることがよくあります。
きっと子どもたちにとって、森は「自分が過ごす場所」なんですね。
自分たちが過ごす場所だから大切にしたい、そうした気持ちが目の前の森から、地域の自然へ、日本の自然へ、地球の自然へと広がっていく、そんなきっかけになったら嬉しいなと思います。
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情報誌「シェアリングネイチャーライフ Vol.38」付録
すぐできるネイチャーゲーム
新城(しんしろ)キッコリーズプレゼンツ〈森の設計図〉
さきほど登場いただいた「きこりのタジー」と仲間たちが間伐した、「あなたの森」の未来を描いてみよう!(架空の森ですが、権利書あげます!) 好きな木や実のなる木を植えたり、遊び場を作ったり、生きものが暮らせる環境を整えたり・・・100年続く、素敵な森をデザインしてください!
情報誌「シェアリングネイチャーライフ Vol.38」のダウンロード(PDFデータ)
<読者作品>
●ネイチャーゲームをもっと知りたい方は
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公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会
事務局次長・マーケティング部
学生時代からネイチャーゲーム自然学校・自然教室に関わり、あれよあれよという間にネイチャーゲーム漬けの日々(つまり仕事)。
2022年冬の情報誌「シェアリングネイチャーライフ」の特集取材で、愛知県の新城キッコリーズさんの仕事場を訪ねてきました!森の未来を頭の中に常に描きながら、そして描いた設計図を常に更新しながら、山と向き合う森林業家の姿がそこにありました・・・情報誌「シェアリングネイチャーライフVol.38」ぜひご覧ください!