我が家には時々、弟の家族が泊りがけで遊びにくるのですが、小学校1年生の姪と3歳の甥がお気に入りの朝の散歩コースがあります。その日も朝からよく晴れたので、朝食後、弟家族みんなで散歩に出かけました。途中、アサガオの種を採ったり、道端の草花を見たりしながら、ぽちぽちと歩きます。道草です。100mほど行ったところの交差点で折り返し、神社の境内を抜けて小さな公園に入ります。いつもは、シーソーやブランコに駆け寄る子どもたちですが、その日は私のポケットにとっておきのアイテムがありました。
それは、市販のラベルシールと黒のサインペンです。白の丸いシールにサインペンでちょこちょこっと目玉を描くと「目玉シール」のでき上がり。いつもの公園で「森の福笑い」の始まりです。ちょうど、木の幹に口に見える部分があったので、その上方に2つの目玉シールを貼ってみせました。それを見た子どもたちは「よーし!ぼくもつくるぞー」と、大喜びで顔探しに走り回ります。
お父さんはというと、しばらく考えていましたが、試しに一つつくると、そのできばえに納得したのか、次々につくり始めました。3歳の甥はシールに目玉を描くのが難しいので、お母さんにつくってもらって、得意げに葉っぱに貼っています。
すると、あたりに次々と顔たちが現れました。各自が三個つくり上げたところで、みんなで見学ツアーです。
「こんなキャラクターいそうだな」
「笑っているー」
「これは確かにねずみに見えるなー」
「ひげおじさんだー」。
みんなの楽しそうな声が聞こえます。自分でつくるのも楽しいのですが、ひとの作品を見ることでも楽しめる遊びです。
傑作な「福笑い作品」は、写真に撮って楽しんだ後はかたづけます。ちょっと惜しい気もしますが、そのままにしておくと、あとから公園に来た人がびっくりしてしまいます。目玉シールをはがしてかたづけて、またぽちぽちとお散歩に戻りました。でも、歩いている途中で木や葉っぱを見ると、「これは顔になるなー」などと探してしまいます。楽しい朝のひと時でした。
(大坂賢一/長野県)
※本記事は情報誌「ネイチャーゲームの森 vol.71」(2010年9月15日発行)より転載しています。
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