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小中学生の自然体験
〈フィールドビンゴ〉を小学校の授業で使ってみたら...
子どもたちのやる気や楽しさを引き出しながら、さまざまなシチュエーションで活用できる〈フィールドビンゴ〉。小学校での理科、生活科、親子遠足など、いろいろな場面で実践してみたら・・・
まずは!やってみよう!

子どもたちが「楽しみながら自然観察にのめり込む!」

〈フィールドビンゴ〉を活用することで、そんな夢のようなことが起きるのです。


まずは、第4学年の理科「季節と生物」の活用してみましょう。クラス替え直後、はじめて新しいメンバーで行う理科の授業。すこし、緊張感をもって子どもたちも先生も取り組む授業で、〈フィールドビンゴ〉は、自然と子どもたちはもちろんのこと、子どもたちどうしも、そして先生と子どもたちもつないでくれるでしょう。


〈フィールドビンゴ〉のやり方

(1) 見たり、聞いたり、触ったり・・・五感を使って楽しめる自然をカードに書き入れます。

(2) 感覚を研ぎすませて、カードに書かれた項目を探します。ビンゴの列を出来るだけ沢山つくりましょう。

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授業型〈フィールドビンゴ〉のやり方

準備は簡単、〈フィールドビンゴ〉の要領で、ビンゴカードを用意し、いくつかのマス目に子どもたちがみつけるワードを書き込むだけ。

ビンゴカードは、5マス×5マスの25マスでも良いのですが、初めてなので難易度を下げることと、授業時間内に終えることができるように、4マス×4マスの16マスを準備しました。書き込む言葉は15マス、残り一つはその時のスペシャルワードとなります。

「チクチクするもの」「ツルツルのもの」といった手触りを意識したものや、「黄色のもの」「紫色のもの」といった具体的な色だけでなく「色の薄いもの」といった観察者が判断するようなものも入れました。

一緒に観察するのは3人組。相談するにも、作戦を考えるにもうまくいく人数です。

授業型〈フィールドビンゴ〉のルールは簡単。マス目にある言葉に合うものを見つけたらチェックを入れます。でも、3人ともに生き物のすぐそばで、諸感覚を働かせて認定しなければ、チェックは入りません。

4年生フィールドビンゴ.jpg
また、今回はチーム対抗戦にしました。16マスですから、ビンゴになる数は全部で10なのですが、もし、同数の場合はチェックの数で順位が決まるので、1つチェックが入っても安心はできません。

子どもたちは、頑張って時間内に少しでも多くのチェックを入れようと頑張りつづけることができました。

いつの間にか、少し緊張気味に始まった理科の授業も、仲間同士が打ち解け合い、笑い声や相手の名前を呼ぶ声が校庭や教材園に響くほどに。

みんなで集まってシェアリング!

25分くらいの時間が経ち、スタート位置に戻ってくる子どもたち。「もう少しやりたかった」と、少し残念そうな…でも充実した表情。いくつビンゴになったのか、集めたチェックの数をグループ同士で競い合いつつ、お互いのビンゴカードを見合っていました。

すると…面白いことに、どのグループもチェックが多く入るマス目とほとんど入らないマス目が共通しているのです。

最初にマス目を入れるときに、季節ごとにこのビンゴを行うことを想定して、春に見られる葉や花の色、手触りや大きさを示すマス目だけでなく、秋に行うときにチェックが入りそうな言葉を配置していました。

このビンゴカードをノート等に貼ったり、クラウドにアップロードしておいたりすることで、秋に行ったときに季節ごとの違いを発見することも可能になります。

春のときはたくさん見つかったのに、秋になったら【色の薄いもの】が見つかりにくくなったね

春は花で【黄色のもの】にチェックが入っていたのに、秋は葉で【黄色のもの】にチェックが入ったよ


第4学年「季節と生物」では、

「動物の活動は、暖かい季節・寒い季節などによって違いがあること」
「植物の成長は、暖かい季節・寒い季節などによって違いがあること」

という、知識・技能を習得しますが、この〈フィールドビンゴ〉の季節ごとの比較を行うことで、子どもたちがこの知識・技能の習得にぐっと近づくように感じます。

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1年生の生活科、芋掘りに訪れた農園で

生活科の授業で訪れた、農園でも芋掘り、草ぬきなどの農作業の合間に、「生活科版いきものビンゴ」を行いました。

こちらは1年生という学年に合わせて9マス。文字を多く使うのではなく、「あしあと」「たべたあと」「いいにおい」など、絵や短い言葉で示していきます。

9マスなので4年生よりも短い時間で自然に1歩近づくことを目的に行いました。

9つの言葉があるだけで、子どもたちはその言葉のファインダー、例えば「たべたあと」ファインダーごしに自然に近づいていきます。すると、子どもたちどうしの自然についての会話が次々に聞こえてきました。


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親子遠足でも遠足版〈フィールドビンゴ〉が大活躍!

1年生が入学して間もない4月。本校では親子遠足があります。

学校からほど近い植物園や公園などに出かけるのですが、ここでも〈フィールドビンゴ〉は大活躍。親子で自然にどっぷり浸かって、生き物に1歩も2歩も近付いていきます。


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学年全部で行うビンゴですので、困ったら子どもたちだけでなく、保護者どうしも会話を交わします。


〈フィールドビンゴ〉のおかげで、入学して間もない子どもたちだけでなく、保護者どうしも自然を介して、つながりを感じてくれます。

「【チクチクのもの】ってこれでもよいのでしょうか?」「【黄色のもの】なら、あちらに花がいくつか咲いていましたよ」など、教え合うことで心の距離もぐっと近づいたように見えました。

クラウド版「フィールド35パターン」ICT機器を使って

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〈フィールドビンゴ〉を数回行った子どもたちは、GIGAスクール構想で1人1台貸与されたパソコンを使ってクラウド版「フィールド35パターン」に挑戦。まずは、自分たちで探すパターンをくじ引き!しました。出てきたパターンに一喜一憂する子どもたち。

探し始めるともう夢中。見つけた生きもの(パターン)をパソコンに付いているカメラで次々に撮影していきました。その写真を9つのマス目に埋めていきます。9つのマス目に埋められたパターンは、どの子どもも見ることが可能。

なかには、「なるほど‥」と感嘆の声を漏らす子どもたちもいました。お互いが集めたパターンも自分たちで集めたパターンも大切に見るだけでなく、「えっ?これ、どこにあったの?」と、見つけた子どもに室面をして、実際に見に行く子どもたちもいました。


やはり、授業だけでなく学校で行う活動で、〈フィールドビンゴ〉などのアクティビティを行うことは、子どもたちと自然との距離をグッと縮めます。それだけでなく、ともに活動をした仲間とのつながりも生まれます。

「わかる」ではなく、「感じる」ことの良さが、次の学びへのつながりとなっているのではないでしょうか。



辻  健 つじ たけし

筑波大学附属小学校 理科教育研究部 教諭

1973年福岡県生まれ。横浜国立大学教育学部にて学位と修士を取得。専攻は理科教育学。

横浜市の小学校教諭で勤務した17年間一貫して理科授業の研究に取り組む。研究主任として全国小学校理科研究協議会の全国大会、神奈川県大会の授業提案を行った。
勤務校の井土ヶ谷小学校が2012年度 日産財団 第1回「理科教育賞」受賞。同年度ソニー子ども科学教育プログラム優秀校として表彰された。2008年に横浜市優秀教員・奨励賞、2014年に横浜市優秀教員を受賞。2015年より現職。


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