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福祉
車いすの子どもとの〈わたしの木〉
小学校の遠足で代表的なネイチャーゲームのひとつ〈わたしの木〉を、車いすの子どもと一緒に行いました。
〈わたしの木〉普及委員会?

ネイチャーゲームリーダー養成講座を受講すると、ほとんどの方が体験するネイチャーゲームの一つが〈わたしの木〉ですが、普段の地域実践ではあまり実施されていないという話を聞きます。

とっても良いアクティビティなので、もっと気軽に実施して欲しいということで、機会を見つけては、その普及に力を入れています。自称で、普及委員会と名乗って一人活動しています。

今回は、そのような中で、車いすの子どもと楽しんだ体験を書いてみたいと思います。



〈わたしの木〉の楽しみ方

1)パートナーに紹介したい木を選ぶ

2)紹介したい木があることを伝える

3)バンダナなどで目かくしをしたパートナーをその木のところに連れていく

4)触覚・嗅覚・聴覚を使うように、その木を紹介する

5)十分のその木を感じてもらったら、目かくしたままもとの場所に戻る

6)目かくしをとって、その木を探しに行ってもらう

7)再会できたら、もう一度触ったり匂いをかいだりする

8)感じたことをシェアする

車いすの子どもと一緒に

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小学校からの依頼で、5年生に対して、遠足がてらに近くの大きな木が多い公園でネイチャーゲームを実施しました。木の〈フィールドビンゴ〉などを楽しんだ後、最後に〈わたしの木〉を実施しようと考えました。

事前の打ち合わせで、車いすの男の子、Aさんが参加すると聞いていました。足場の悪い場所での活動が難しいけれども、それ以外では友だちと一緒に行動ができるだろうということでした。

実際に、全体やグループでの活動の際は、支援のための補助教員Bさんや、友だちが車いすを押しながら一緒に体験していました。

最後に〈わたしの木〉です。デモンストレーションで、Bさんに出てきてもらい、彼女に1本の木を紹介しました。そして、参加者は2人組になって、それぞれ活動をはじめました。

残ったAさんとBさんに対して、

B先生には、今、紹介したから、今度はAさんには先生と私とで1本の木を紹介するね


A
さんは、目を輝かせて周囲をキョロキョロ見回しています。

じゃあ、目かくしをしようか


B
さんがサポートして目かくしをしました。

実は今、Aさんのすぐ後ろに紹介したい木があったんだ。


車いすを180度回転しました。

ゆっくりと前に進むよ。ほら、手を伸ばしてごらん。


足場の良い場所にある、距離にして2mほど前に移動すると、手の届く距離にその木はありました。

そうそう、今さっき、後ろに木があったよね。でも、この木?
そう。今、その木と握手してるよ。ぐるりを回ることができるから、ゆっくりとB先生と一緒に動いてみようか。
あっ。こんなところに枝がある。


幹の太さに比べて、背が高くないその木には、車椅子に乗っていても右手の届く高さに枝がありました。

本当だね。その枝の手触りとか、強さとかはわかるかな。
とっても堅いね。しっかりしてる。どこまで伸びてるんだろう。
どれくらい伸びてるのかな。大きな木だと思う?
んー、そうだね。


しばらくの間、枝と幹をなぞっていたので、Bさんが車椅子の向きを斜めに変えて、両手で触れるようにしてくれました。

なんか、大きいというより、どっしりしてるのかな。
そうなんだね。さっきは、握手をしたけど、もう少し手を伸ばしてハグしても大丈夫かな。


また、位置を微調整して、抱きつくことができるようにしてもらいました。

なんか、いい匂いがするね。


しばらく、その木と寄り添った時間を過ごしました。

じゃあ、もう一度元に戻ろうか。


車椅子を動かし、元の位置で、木を向く方向に車いすを止めます。

今、あいさつした木が、目の前にいます。どんな木だっか憶えてる?
うん。しっかりした枝が先の方まで伸びていて、ハグするとどっしりとした感じだった。
じゃあ、ゆっくりと目かくしを外してみようか。目の前の木が、今、会いに行った木だよ。


目かくしを外したAさんは、目の前の木をゆっくりと見ています。言葉は出てきません。

心なしか、Aさんの目が優しくなってきています。

もう一度、握手しようか


木に近づくと、届かないところでも、手を一所懸命に伸ばそうとしています。

そうそう。


手が届いた時に出た言葉です。

Aさんのやりたいことが、Bさんにも伝わっています。

これだ、これだ。うん、うん。


しばらく撫でたり、抱きついたりしました。

この木は、ずっとここに居るんだよ。ここに来たら、また会いに来てくれるかな。
うん。


その後、Aさんはその公園に行くと、特別な支援がなくても、その木のところまで自分で車いすを動かし、その木に会いに行ったそうです。

身近な木に気づこう

木を探さなくても、木を当てなくても、わたしと友だちになってくれる木があります。

そこにあることは知っていても、そこに居ることには気づけていなかったかもしれません。あなたも、身近な木と友だちになってみませんか。





●ネイチャーゲームをもっと知りたい方は
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●ネイチャーゲームを体験したい方は
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 ▶︎講師依頼をして自分のイベントで実施する




25698037-F021-4AE1-9997-E6FEF03B3EA9_1_201_a.jpeg阿部利也 あべ としや

ネイチャーゲームトレーナー
指導者養成委員

昨年4月から家族の理解を得て学生生活を送っています。
自分の子供よりも若い先輩や同級生に、ついていくのが大変な毎日を送っていますが、何かにつけ学割を使えるのにはニンマリしています。
この年齢になっても、初めてのことが多い毎日って、ストレスもありますが新鮮で充実していて、今のところ、先のことなど考えずに過ごしています。

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